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シンデレラバトローション  作者: 榊屋
11日目
83/88

11日目:現れる姿は、紅い

 クライマックスまであと少し。


 凄惨な風景。

 という言葉の意味を僕は知らなかった。凄惨だって、読み方を知らなかったくらいだ。

 でも、隣で

「凄惨だな・・・・・・」

 と羽賀が使っていたのを聞いて、ああ、こういうのを凄惨というのだな、と理解した。彼の使用用途が正しいかどうかは不明だが。

 閑話休題。

 僕らが居た階から、2階上。

 その空間の廊下は黒が占めていた。

 廊下は立った5人分の血とは思えない量の血が滴り、緑がほとんど見えない。赤と緑の色合いが絶妙だったのだろう、見事に黒色になっていった。

 ただ、1つ言うならば、死体は全て一突きで殺されているということだ。体験の一突きなので、上半身には穴が開いたようなものだが。

「快楽のためにやるようなことはやっていない。大量殺戮兵器・・・・・・ということだろうか?」

 神道はそう言って、歩いていく。ぴちゃぴちゃと音がなる。

「鎧はどこへ行ったのかな?」

 橋田も気にせずに血の海(あまり、使いたくない表現ではあるが)を歩いていく。

 そういえば、どうして橋田は人の死体に関して耐性があるのだろう。その辺りのことを聞いていない。

 だが、今聞かなければならない事ではないだろう。

「足跡でもあれば見つかるんだろうけどなぁ・・・・・・」

 2人に対して羽賀は天井を歩く。

 足を汚したくないのだろう。忍者は自分の足跡が残りかねないようなことを拒む。

「油断は禁物。できるだけ、注意力を底上げしておきなさい」

 そう言って、無花果は動かない。

「ふむ・・・・・・」

 天井には穴が開いている。つまり、あの鎧が『小さくなる』などということはありえないわけだ。

 その天井の穴から見てみると、上の階にも、その上の階にも穴が開いている。場所によって、雨のしずくが落ちてきている。

 雨・・・・・・。

 今日は雨ということか。というか、屋上まで穴が開いているということだな。

「どうも、全ての階を歩く事で、穴を全ての天井に開けているようだ。音でアイツを捜すのは困難そうだな」

 僕はそう言って、少しずつ血の海に足を踏み入れる。特に抵抗は無い。

 こうやって歩いていると、ぴちゃぴちゃと音が鳴る。これでは鎧が来ても、誰の足音か分からないな。

「無花果、アイツは来てるのか?」

 僕が振り向いた。

「分からないわ。それより集中の邪魔をしないでちょうだい」

 鎧が無花果の横に現れた。

「無花果!」

「え――」

 無花果の体に大剣が突き進む。

「くっそが!」

 僕は叫んで、飛び、無花果の体を押し倒した。

 大剣は見事に空を切り、壁に突き刺さった。

 僕と無花果の服や肌は、赤く染まった。

 鎧の体は、紅く鈍く光っていた。


 さぁ。最終決戦だ。

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