11日目:絶望を進む訳は、友
さて。
君達がコレを読んでいるという事は、僕は死んだってことだろう。
こんな言い方すれば、何か、冗談みたいだけれど、真実なのだから悲しい。
僕はちゃんと一矢報いて死ねているだろうか?
どんな形であれ、皆のために死ねたのなら、僕に不満は無い。しかし、無駄死にだったとしたら、君らに心の痛みを与えただけで死んだ事になるだろうから、やっぱり一矢報いて死ぬ事が僕の責任なのだろう。
君達がこれをどんな気持ちで見ているかは分からないけれど、取り敢えず、これを書いている僕の現状だけ教えておこうと思う。
これを書いているのは、皆が寝静まった後だ。僕はこれから死にに行く。
そう思っていたら、何かを感じ取ったのか、他の何人かも一緒に行くって言い出した。予想外だったし、それはまずいと思ったから、何度も止めようとしたけれど彼らは訊く気が無いらしい。君達には悪いけど、大人数を減らす事になりそうだ。だから、一矢以上の何かを期待してくれ。外れたら、その時は僕の死体を煮るなり焼くなり好きにしてくれてかまわないよ。
この封筒を見つけてくれただろう、如月君には感謝したい。如月君が僕らに覚悟を教えてくれていなかったら、この戦線は成立すらしていなかっただろう、と断言できる。
これから君らは戦争の続きを開始するはずだ。残りの人数が何人なっているかは分からないけれど、少なくとも全員を殺すことはできていないだろう。
本当は皆に相談してから行動を起こそうかと思ったけれど、そんなことすれば、神道君と如月君は全力で僕を止めるだろう。また、もしかしたら、もっと大人数で突っ込む事になるのかもしれない。どちらにせよ、最悪だろうと判断したよ。
それに、待機部隊の面々に心配を掛けるわけには行かなかった。彼らは彼らで、別の方向から行動を起こしているらしいから。
僕に出来る事は最大限のことを出来たと思っている。君らの仲間として行動が出来たとも思っている。できていなくても、僕にはどうすることも出来ないけれどね。
僕は先に逝く。
僕は君らの役に立てたかな?
立てていなかったら申し訳ない。天国にはいけないだろうから、地獄からでも――もしそういう概念が無くても、無からだろうが、来世からだろうが、生まれ変わった先であろうがどこからでも君達を応援することで償わせてもらおうと思う。
最後に1つ。
如月君の言っていた覚悟に1つだけ追加しておきたい。
誰かのために死ねる覚悟。
それを考えておいて欲しい。
木戸 秀一