11日目:開演のブザー音は、もうすぐ
「どういうことだ!」
神道が誰よりも早く叫んだ。
【私だって驚いてますから。まさか、こんな結果になって、こんなに一気に人数を減らされるとは】
「だからどういうことなんだ!!」
神道はもう一度叫ぶ。
それへの受け答えとして、ヒラオカは
【このゲームのルール。戦線中以外に関する内容を覚えているでしょうか?】
と言った。
「・・・・・・どういうことだ?」
【戦線中以外でのルールです】
「・・・・・・戦線以外で、人を殺した場合、反発とみなし、お前がその人物を殺す・・・・・・」
【そういうことです】
証明終了とでも言わんばかりの言い方で、ヒラオカは黙った。
「・・・・・・まさか・・・・・・」
神道はそう言って、少し青ざめる。
きっと、その推測は当っている。
ここまでくれば全員分かるはずだ。
今ここにいない奴らは、ルールを無視して、戦線中で無いにも拘わらず、教師達を殺しに行き、ヒラオカによって無駄死にとなった・・・・・・と。
【残念なことに無駄死にではありませんでした】
ヒラオカは心を読んだようにそう言った。
【彼らは、自分で爆弾を持って突っ込むという方法によって、私が殺す暇も無く死にました。手法としては、自爆テロです】
「自爆テロ・・・・・・」
【私に殺される前に、先に相手を殺してしまうということでしょう。ルールにのっとるとすれば教師が死ぬまで、その人物がルールを破ったかどうかは分からないのですから。木戸さんはそこまで考えていたのでしょうね】
そう言って、区切りがついたのか少し黙ると、
【さて】
と話題を転換した。
【これによって、戦線は一気にクライマックスまで着ましたね。生徒、残り12人・・・・・・教師は残り】
その人数によって、俺達の運命は左右される。
一体、何人残っているのか。
【1人です】
ヒラオカはそう言って、
【以上の状況により、戦線はすぐに開始します。両者、準備を開始してください】
と続けると、ブツッ!という音を立てて通信を遮断した。
「・・・・・・後、1人・・・・・・」
誰かがそう呟いた。
「追い詰めた・・・・・・けど」
「木戸たちは死んだ・・・・・・」
呟きは増えていく・・・・・・。
『死んだ』という事実が僕らの心を蝕む。
「あ・・・・・・」
突然昨日の発言を思い出した。
木戸が言っていった。
『封筒』があると・・・・・・。
僕は無我夢中という感じで教卓の中を見た。
ポツンと。
封筒が1つだけ置かれ、それ以外の何も置かれていなかった。
「これは・・・・・・?」
僕が取り出したそれを見た神道が尋ねる。
「多分・・・・・・木戸の遺書だろう」
「遺書・・・・・・!?」
皆が様々な反応を見せる中、僕はその中から紙を取り出した。