10日目:後悔
Biiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!
という大きなブザー音が鳴って、戦線は終了した。
その日は先生方がどこにいるのかが分かった上で盗聴器を仕掛けておいて、作戦を考えようかと思ったのだが、
「盗聴器を仕掛けるのは危ない。向こうに接近する事自体危険なのだから」
という神道の意見に基づき、明日の作戦を立てるだけにとどめた。
だが。
作戦会議もあまり進むこともなく、そこまで妙案も浮かぶ事は無かった。
その日の夜。
相変わらず眠りにくかったため、1階のロビーのソファに向かうことにした。
案の定、木戸と神道の2人がいた。
「よお」
「おう」
「やあ」
という短い挨拶の後いつも通りの形式でソファに座る。
「何か、新たな策を思いつかないか?」
自然な流れのように、神道が言う。
「無いな」
僕は即答して、ソファに深く座りなおす。
「全く・・・・・・作戦が中々進まんな」
「あれだ。何なら、もう一斉に突っ込んでみるか?」
「アホか」
神道と作戦とも言えないような作戦会議をした後、神道は
「寝る」
と呟いて、階段へと上がっていった。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・木戸?」
「うぇ!?」
突然の発言に木戸は驚いた、というような反応をした。
「どうかした?」
「どうかしたって?」
「いや、何か黙ってるから」
「・・・・・・あのさ」
木戸は言った。
「教卓の中に、封筒がいくつか入っているんだ」
「うん?・・・・・・うん」
「それだけ」
そう言って、木戸は階段を上がっていった。
もしも。
もしもこの僕らの戦いに戻りたい時間があるとすれば。
僕はこのとき、もう少し木戸を追及すべきだった。