10日目:推理
初めての神道君の戦い方ではないでしょうか。
『木戸』は、発言のすぐ動いた。
「死ね」
持っていた紐を神道の首に掛け、思い切り引っ張る。
が。
ブチッ、という音を立てて紐は切れた。
「!?」
「敵がそこに居ると分かっている限り、見す見す死にに行くような真似はしない」
そう言って振り返った神道の口には、サバイバルナイフがくわえられていた。
「ああ・・・・・・。ある意味凄いね。ホント・・・・・・」
「他人の殺気でしか人を判断できん殺人鬼と殺し屋や、視力と勘のみでしか敵を理解できん奴らと、俺を同じにするなよ」
くわえていたナイフを、右手に構える。
「あれ・・・・・・。もしかして、僕、何かミスった?」
「バカが。時間的に考えるだけで済む問題だ」
神道はそう言ってから、ナイフを左手、右手と分ける。
「あんな短時間で、しかも全員が襲われる可能性は少ない」
「そうか?ありえないことでもないだろ?」
『木戸』はそう言って笑う。
「もし襲われていたとしたら、襲われた事を知らせるよりも前に全滅だろう」
「さっきから可能性の話しかしてないじゃないか。明確な根拠を述べなければ、君の言う、『奴ら』に顔向けできないぜ?」
『木戸』の喋り方と声を完全にコピーしている。
「まぁ、結論から言えば、貴様は木戸を知らない」
「・・・・・・どういうことだ?」
完全なコピーを批判されたように感じたのか、少し憤慨した様子を見せる。
「木戸は、もしも誰かが襲われたら、俺達のところに連絡しに来る前に自分から行く。自分でどうしようもなくなった時に、誰かに助けを求める。少なくとも、『危険だから』という理由で行動をやめたりしない」
故に、今、お前がここに居る事がお前が木戸じゃない証拠だ。
と神道は続けて、ナイフで『木戸』を差した。
「今一度問おう・・・・・・。貴様は誰だ」
「・・・・・・OK。ここまでばれちゃ仕方が無い」
そう言って笑う。そして両手を開いて、自分を見せびらかすような素振りを見せる。
「僕は飽く迄、木戸だ。それ以上でも以下でもない。僕のつけている装備は、『変装』に過ぎないのさ」
「変装・・・・・・か。なるほどな。そして木戸の『心』以外の全てをコピーしていたということか」
「そうだよ。だから、全てを木戸として僕はこれから生き続ける」
「残念だったな。貴様の命はココで終わり。最後に自分以外で死ぬというのか・・・・・・。哀れだ」
神道はそう言ってから、ナイフを新しく左のポケットから出す。合計、2本へと増えた。
「如月の言う、殺人の覚悟というものを背負ってみることにするかね・・・・・・」
神道はそう言ってニヤリと笑った。
・・・・・・あれ?おかしいな・・・・・・。戦わなかったぞ・・・・・・?