10日目:探索
戦線が始まって10日目。
死人も増え、現状は最悪といったところか。
毎度のことながら、作戦会議が始まった。
「さてと・・・・・・。昨日のことから、全員固まっているほうが危険性が少ない。また、サポートに転じやすい事が分かった。だから、行動はできるだけ離れず、人数は最低でも3人以上を原則とする」
木戸はそう言って話を始めると、続けて言った。
「今回はこちらから仕掛けようと思う」
「仕掛ける・・・・・・」
「先手を相手に取られたら、今この場合は危険だ」
「けど、相手の武器の特性も分からず突っ込むのも同じくらい危険じゃねーか?」
羽賀が言う。
その発言に木戸は頷くと、
「確かにその通りだ」
と言って、更に「しかし」と話を続ける。
「昨日は、相手の出方が分からなくて、戸惑っている間に、一発で仲間達が焼き払われた。だとすれば、待機していても殺される可能性は大いにあるということになる。また、動かずに出方を待っていたがために、異常生物にも先手を打たれてしまった」
「・・・・・・」
羽賀は黙って見つめる。
「なるほどな。つまりこういうことか」
神道が納得したように言う。
「どうせ死ぬなら、何か結果を残して死ぬほうが、仲間にとっても自分の名誉のためにも得である、と」
その発言に木戸は頷く。
「言い方は悪いけど、そういうことになる」
「犠牲が絶対につきものの戦いともなれば仕方が無いわね」
無花果はそう言って、
「具体的に案はあるのかしら?」
と木戸に訊く。
「そのためには、まず相手側の拠点を捜さなければならない。20人ここには居る。5人ずつに分かれて、探索しよう。深追いは禁物だ」
木戸はそう言ってメンバーをわけはじめた。
「で、結局こうなるわけか」
そう言って溜め息。
こうなる、とは。すなわち、毎度のメンバー勢ぞろいである。毎度のメンバーは君のイマジネーションの豊かさが感じ取ってくれると信じている。
「どこに奴らが居るのか・・・・・・。橋田が確認したところでは職員室には居なかったのだろう?」
「うん。だから、別のところになる」
「また、橋田さんが情報室でパソコンを操作していたから、情報室も違うことも明らかね」
「てことは残ってる大きな部屋は・・・・・・」
「多目的と体育館・・・・・・、図書館と後は会議室くらいか?」
「応接室もあるよ」
「ではまずは近いところから潰そう」
「図書館にするか」
誰が何を言っているかは、なんとなくで感じてください。
君のイマジネーションの豊かさが(略)。
入ってすぐ、羽賀が言った。
「・・・・・・どないやねん」
「何故関西弁?」
羽賀と小さな漫才をした後、図書館を見渡す。
「何も無いな」
神道は言って、どこからか持ってきた本を抱えて、席に座る。
「くつろごうとしていないかしら?」
「気にするな。時間は遠くはなれようとも、結果は留まり続ける」
「格好いいこと言っているように聞こえるけど、内容は無いからね」
女子2人に責めたてられるが、神道はもろともしない。
「皆!」
図書館の扉が急に開いて、木戸が現れた。
「他の皆が別々の場所で襲撃されてる!」
「何!?」
「頼む!助けに行ってくれ!」
「・・・・・・チィ!」
誰よりもまず、羽賀が走っていく。場所も聞かずに。まぁアイツなら人の気配で捜すだろう。
「どこに居る!?」
「応接室と多目的と体育館と会議室だ!」
「了解。僕は会議室に行く」
そう言ってから、僕はその部屋を去った。
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「私は多目的へ行ってくるよ」
橋田はそう言って、外へ出る。
「では私は応接室へ」
無花果はそう言って去っていった。
「神道君は・・・・・・?」
「俺はここで待機しよう。全員があわてていくところでもないだろう」
神道は言って、もう一度席に座る。
「そもそも落ち着いて行動しなければ、俺も格好の的だからな」
「それも・・・・・・そうか。じゃあ僕もここで待機しようか」
「それがいい」
本を開いて、読み始める。
そんな神道の後ろに木戸は立つ。
「で、だ」
神道は言った。対象は木戸だが、視線は本にある。
「貴様は誰だ」
神道は、後ろで紐を握り締めて立っている木戸に向かっていった。
「あっれ・・・・・・。ばれた?」