9日目:終わりは始まりな訳である。
その後、
「思ったよりも痛い結果が残ったな」
神道は言いながら暗い校舎の中を歩く。その後ろを僕と無花果が追うように歩く。
「最先端兵器に異常な生物・・・・・・次は恐竜でも出てくんじゃねーか?」
羽賀はそんな神道の前を歩きながら言う。
「そんな事できるはずがないだろう。バカか貴様」
「じゃあ訊くが、あんな最先端の武器や異常な生物をお前は見たことあんのかよ?」
「・・・・・・」
「何が起こるかも分からない状況だ。何が起きてもおかしくない状況だ。冗談半分が現実になるかもしれない」
「嘘から出た真・・・・・・ってことね」
無花果がそう付け足す。
「分からないことを考えてケンカなんてせずに、今は情報室での情報に期待しましょう」
そう言って歩き続ける。
ようやく橋田が情報の収集を完了したらしい。本来はもっと前に終わっていたようだが、別のことを新たに始めていたらしく、驚きの情報が手に入ったらしい。
情報室の扉を開けると、
「あ」
橋田が眠っていた。
そうか。疲れて寝てしまったのか・・・・・・。うーん、起こすべきだろうか――。
「起きろ、橋田」
躊躇無く神道が動き、橋田の頭を叩く。
「最低ね、神道君」
「アホだな。アホ」
「神道・・・・・・」
3人で取り敢えず冷たい視線を送るが、アイツ自体が冷たい男なので効果はそれほど得られない。
「ああ・・・・・・おはよう」
橋田はそういいながら、パソコンをつけた。画面を消していただけのようで、既に何らかの画面が見えている。
「面白い情報が手に入ったよ・・・・・・。3つほど」
「3つも!?」
「ちょっと興味本位で、職員室と校長室を1人で歩いてきたからね・・・・・・」
橋田は言って、寝ぼけ眼をこする。
「お前、勝手に何やってんだ・・・・・・!」
僕は橋田に食って掛かる。
「ちげーよ。俺もついて行ったんだよ。ただ、俺はその2つの扉の『前』にいたから、部屋を歩き回ったり調査したりしたのは全部橋田だけってことだ」
そう言って羽賀が笑う。
「で、どんな情報なのかしら?」
「じゃあ、まず1つ目」
そう言って橋田はパソコンの画面を指す。
「これはこの学校のネットワーク状況・・・・・・見ても分からないと思うけど、乱れはほとんど生じていない。だから、誰かが外からハッキングしてこの学校の放送システムや、設置した武器やエアコンやカメラを操作しているわけじゃないってことになるね」
「じゃあハッキングされているわけじゃないってことか?」
「そうじゃない。むしろ、ネットワークを固めて、外からは全く出来ないようになっている。そんじょそこらの人ではハッキングはできない」
「・・・・・・そういうことか・・・・・・」
神道はそう言って、顔を上げる。
「どういう・・・・・・?」
「外ではない・・・・・・つまり校舎内からハッキングしているということだ」
「校舎内・・・・・・!?」
どういうことだ・・・・・・?
状況が読めない。
「校舎内の何処かに奴は居るということだ」
「それは・・・・・・」
「案外近くにいるということだな」
「次、行くよ」
橋田は言ってから紙を数枚取り出した。
「何者かによって校長室の机の上に置かれていたよ」
紙を受け取る。
「これは・・・・・・前と同じか・・・・・・」
そこには死んだ人の顔つきの名簿があった。
「死んだ人間の名簿がそこに置かれていくってことか・・・・・・」
「いや、それはもう起こらないと思うよ」
そう言って橋田はさらに数枚、紙を取り出した。
「そこには全員分の名簿がある・・・・・・はずだけど、おかしい」
橋田は言った。
「そこには如月の名簿だけ入っていないんだ」
「・・・・・・え!?」
「そしてその代わりに・・・・・・」
橋田が見せたその名簿。
写真は乱暴に破られ、名前のところも破かれたような後があるけど、確かに書かれていた。
『平岡』
と。