表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/88

9日目:カの力


 実は。


 目が覚めたときに、僕の目の前には無花果が居た。

 何をしようとしているのか分からなかったので、取り敢えず狸寝入りに入ることにした。そしてしゃがむと、突然人の腕を掴んだり、首元を見たり、顔を覗き込んできたりした。

 何だ?コイツ。本当に何してんだ?

 と思った矢先、

「これ、じゃまね」

 今度は人の包帯を解き始めた。いや、別に外面的に怪我は無いからいいけれど、一応、けが人だから手荒くしないで欲しい。骨が痛いという事実は一応存在するわけだし。

「無いわね」

 だから何が?

 と、次の瞬間、誰にも見えていないであろう角度で、無花果は「ニヤリ」という効果音がつきそうな笑顔で笑った。

 コイツ・・・・・・。僕が起きたの気付いている・・・・・・!?

 そして、俺の服を捲り上げた。

 何しやがんだ!

「あったわ」

 だから何が!!

 その後、静かになったと思うと、突然走り出して、床を叩いた。



「何やってんだ?」

 僕は帰ってきた無花果に向かって言う。

「敵を倒したのよ」

「敵?」

 そう言って無花果が見せた手の上には、黒い点のような模様がついていた。

「・・・・・・あ」

 いや、違う。これは・・・・・・



「蚊?」

「そうよ。敵は『蚊』だったの」

「・・・・・・もしかして」

 僕は無花果に乱された衣服を見る。

 腹部。鳩尾の少し上の辺り・・・・・・。

「・・・・・・蚊に刺されてる・・・・・・」

「どうして、気付かなかったの?他の人はともかく、貴方なら気付けたはずよ?」

「・・・・・・あ」

 分かった。

 この蚊は、かなり前からココに居たんだ。

 僕と、あの妙なバズーカを持っていたあの男が戦っていた最中――恐らく僕が壁に貼り付けにされた後、地面に落下した時だろう。

「この蚊が、毒を持っているということか・・・・・・?」

 僕は無花果を見る。

「そういうこと」

「他には!?他にこの蚊はいないのか!?」

「大丈夫そうよ。殺意は他には感じないわ。まぁ、毒を持った蚊なんてそうそう居ないものよ。特に、人を殺そうという意識・・・・・・すなわち、殺意を持つような猛獣以外の生物なんて、居るとは思えないわ」

 なるほど・・・・・・。

 僕は安心して、もう一度、背を壁に預けて目を閉じた。

 そして僕と同様に倒れ伏していた2人を見る。

「あの2人は?」

「貴様同様、蚊に刺された痕を発見した。羽賀の持っていた血清を貴様に使った後、2人にも使用しておいた」

 その発言を聞いて、

「そうか。2人は大丈夫なのか?」

 と尋ねた。


 僕は、心の奥底では「大丈夫だろう」と踏んでいたが、神道は




「大丈夫じゃない。恐らく、死ぬ」


 言った。



「・・・・・・は?」

 題名は『かのちから』です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ