9日目:いや、ギャグとかありませんから。私ですから。
題名どおり。それにしても長し。
どうも。
急遽、申し訳ないけれど、私が担当しなくてはならなくなってしまったわ。主人公ではないとは言え、語り部担当ならば彼にもしっかりして欲しいものね。
「無花果!」
情報室に入ってきた羽賀君が、慌てたように私の名前を呼んだ。
「何かあったの?」
「如月がヤバい。何があったのか分からない。誰がやったのか、どこに居るのか分からないんだよ!」
「・・・・・・!!」
状況が上手く飲み込めてないけれど、突然彼がやられるということは、発された殺気がに気付けなかったということ・・・・・・。
相手がやばいということは分かる。
「今は血清で落ち着いているけれど、他にも1,2人同じようになっていて、取り敢えず同じ処置は行ったけど・・・・・・」
「・・・・・・橋田さん・・・・・・」
「私は大丈夫だと思う。だから、皆のとこに行って」
「・・・・・・分かったわ」
返事もそこそこ私は駆け出した。
「俺がココに残る。ココは任せろ!」
「ええ」
羽賀君の言葉の返事も適当に済ませて走った。
如月君がそんな状態になり、現状回復も出来ていない。つまり状況は最悪。
「・・・・・・」
しかも羽賀君の話によれば、敵がどこいるのかも分からない状況にある。
殺人鬼なら、しっかりして欲しいものね・・・・・・。
そう思ったときには、教室についていた。
「無花果さん」
木戸君が私の姿を見ていった。
「どうなっているの?」
「分からない。急に顔色を悪くしたと思ったら、痙攣したりして・・・・・・今のところ落ち着いているけれど、状況がどう転んでもおかしくない」
「・・・・・・!」
殺気。
微かながらこの教室に、それがある。
・・・・・・確かに、コレは『殺人鬼』のように、人を殺す側には分かりにくいかも知れない。私とは違って彼は狙われることにはなれていなかったのだろうから。
「・・・・・・この教室内に居るわ・・・・・・。しかも、気配をほとんど消している」
「・・・・・・まさか、透明になっているんじゃ・・・・・・」
「透明に・・・・・・?」
そんなSFみたいな展開が、まさか木戸君の口からでるとは思っていなかった。
「どういうこと?」
「あそこにある、バズーカ見えるだろ?アレは、どうも最新式の武器みたいなんだ。明らかに、この時代では作ることが出来ないような・・・・・・」
「・・・・・・ああ、だから、如月君はあんなにボロボロなのね」
そして、それでも恐らく彼は殺したのだろう。
相手が誰であろうと勝つのではない。相手に関係なく、何でも『殺す』。それが如月という人種だ。
それにしても、違和感がある。
「・・・・・・」
例えば。
人間の持っている、気配を「1」とした場合、殺気のように強い意志に関しては「10」くらいになる。しかし、今、この状況では、殺気として「1」の気配を感じる。
「・・・・・・もしかしたら」
如月君のほうへ向かう。
そして如月君を見る。体中を。
「・・・・・・無花果、何をしている?」
神道君が疑問の声を上げる。
「無花果さん?」
周りの男子や女子もこちらを見る。
・・・・・・。
「これ、じゃまね」
私は包帯を外した。
「おい、何をしているんだ」
「・・・・・・無いわね」
服を捲り上げる。
「貴様本当に何をしているんだ、答えろ」
「あったわ」
「・・・・・・何がだ?」
神道君が寄ってくる。
「・・・・・・これは・・・・・・」
如月君の腹部。鳩尾の中心辺りに、1つの丸く赤い斑点があった。
「・・・・・・分かったわ。正体が」
私は感覚を研ぎ澄ます。
周りの雑音や気配を消していく。
・・・・・・。
・・・・・・聞こえた。
私は走った。