9日目:綺麗な薔薇には毒がある
正式には棘ですけどねー。
21時になったが特に何かは発生しなかった。
恐らく先生側も予想外だったのだろう。まさか最新式の武器が負けるとは思っていなかったということだ。最高のパターンでは、あれ以上の最新式の武器は無い可能性もある。
現存する戦力数は生徒が22人、教師が8人となった。しかし、今、僕は戦えないし、無花果や橋田をのける事によって、19人対8人ということになる。
しかし、先ほどまでとは違い、戦争の状況は急に悪天候に見舞われた。混沌の渦の中にぐるぐると巻き込まれ、正しい方向性を見失っているような気がする。いや、気がしているだけで、するべきことは明確に分かっているのだが。
『アイツ』を倒す。あいつが敵なんだ。僕らの。
「如月」
斜め上から名前を呼ばれる。自然、見上げる姿勢でその顔を見る。
「・・・・・・羽賀」
「お前、大丈夫かよ。顔色悪いぜ?」
「これだけ怪我すればそりゃあ、顔色を悪くする事だってあるだろ?ってか当然だろう」
僕は自分の全身を纏うように張り付いている包帯を眺める。そして骨も数本折れている可能性もありそうだ。
「これ・・・・・・僕、骨大丈夫なのか?」
「俺は医者じゃないから詳しいところは分からないけれど、問題があるってことだけは分かるぜ」
「それくらい僕にだって分かるってのー」
僕はそうふざけた後に、腕や脚を少し動かしてみる。・・・・・・うーん、そこまで痛みは感じないけれど、ここで調子に乗って無理に動かすとむしろ支障をきたす事は間違いなさそうだ。或いは、死傷か。
諦めよう。
最悪死ぬ事も視野に入れて考えなければならないだろう。だって、それが僕の運命ですから。
まぁ死ぬ事なんて今、この現状においては最悪ではないのだろう。最悪な状況は、僕の死によって、この戦争のバランスが崩れ、皆が戦争に集中できなくなり、結果、負ける。というところだろうか。
「ていうか、如月。本当に大丈夫なのか?」
「だから何が」
「いや、それ多分痛いとかじゃなくて、疲労だと思うぜ?」
「疲労?」
「お前、最近寝れてないんじゃないのか?」
「・・・・・・」
否定は出来ない。最近は殺されるという状況に自分の体が本能の基づいて、興奮しているのが分かる。今、こうして戦争に参加できない流れでも、僕は体が殺戮を欲しているのを肌で感じる。
いや、でも確かに、おかしい。これは・・・・・・何だ?体を重くしようとしている、何かの存在を感じる。しかし、それは疲労のように蓄積されたものではない事も分かる。
・・・・・・いや、これは、1度感じた事がある。確か、マッドサイエンティストを殺しに行ったときの・・・・・・!
「羽賀・・・・・・気をつけろ」
「?」
「・・・・・・何かが・・・・・・襲撃している・・・・・・」
「何かが・・・・・・!?」
「これは恐らく・・・・・・神経毒」
「ど、毒!?」
そこに居た、木戸や神道がその声に反応してよってくる。
「どういうことだ!」
「いや、如月が」
僕は口を開こうとする。
「あ・・・・・・う・・・・・・」
ああ、麻痺系なのか?上手く呂律が回らない・・・・・・。恐らく頭まで侵食してくるだろう。
「血清あるか!?」
神道が羽賀に聞く。
「神経毒系統は・・・・・・あるかもしれない」
何を持っているんだ、こいつは。ああ、そうか忍者なのか・・・・・・。
あ、が・・・・・・。