8日目:ずる賢く、勝つ
「とっつぬー!」
妙な言葉でそう叫びながら、羽賀が情報室の扉を蹴り飛ばした。
「!」
中に居たのは数人の先生方。残りは他の場所で何かしているのだろうと思う。
「動くな!」
神道が言いながら片手で短機関銃を構える。僕と橋田も銃を構える。
律儀にも教師達は動きを止める。
「教師の残り人数は15人・・・・・・。ここに居るのは4人・・・・・・か」
神道が言いながら、もう一方の手でハンドガンを取り出し、1人の肩を打ち抜く。
「結局やるのかよ・・・・・・」
教師の1人が呟いてしゃがみながら、武器を用意する。
「待て!」
神道が叫ぶ。
「取引だ。荷物を全てここに置いておいてくれれば、貴様らに手を出さない」
「・・・・・・応じる理由が無い」
1人が言う。
「だったら死ぬか?別に俺達は貴様らを殺して、無理やり退去願ってもいいのだ」
「・・・・・・」
教師達は黙る。そして
「分かった」
と呟いた。
そう言って教師達は武器を置いて、そのまま情報室を退去しようとする。
「後で絶対殺す」
教師達は呟いて出て行った。
あーあ。
「よし、さっさと行動を起こすぞ」
「先生側のパソコンを起動してください」
橋田と神道は行動を起こす。
「食糧は割りとあるな。武器もまぁまぁか」
羽賀は言いながらお菓子に手を伸ばす。
「後、5秒よ」
「よし、橋田のパソコンは守らないとな」
僕と無花果は念のため、パソコンを守るように立つ。
轟音。
激しい爆発音と共に、入り口の扉がこちらに飛んでくる。
「任せろ!」
俺はそれを右足で蹴り止める。
「う・・・・・・っと」
止まりにくい。が、何とか防御に成功した。
「ずるいわよね。取引とか言って教師方を外に出して道具を奪った挙句、時限爆弾でどうせ殺すという・・・・・・」
無花果が蔑んだ目で神道を見る。
「ずるくても勝てればいいんだよ。これで向こうは11人だ。それにしても手ごたえの無い敵だな・・・・・・」
神道は眠そうな顔で言う。本当に退屈そうだ。
「ゲームとしては成り立ちにくいかもね」
僕はそれだけ言って橋田を見る。
「どうだ?」
「パスワードですね。でも心配ありません」
そう言ってから、キーボードを凝視する。
「・・・・・・見えました」
橋田はキーボードを叩く。
そしてEnterキーを押した。
「どうやったんだ?」
「キーボードの地味な傷や、最近良く触られていて、地味にへこんでいるところ・・・・・・後、指紋のつき具合とか色々確かめました。後はそれで順番になりそうな語句から捜してみたのです」
「は・・・・・・」
凄い事するもんだ。
そう思いつつ、僕は全く別のことを考える。
もし、教師達を早く殺せば、平和に終わるのだろうか・・・・・・と。
壁や窓の破片を見てそう思った。
どんな形でも、勝ちは勝ちだ!