8日目:無意味にも、思う
半強制的に事態に収拾をつけ(本当に面倒な事なので実際は省きたいのだが、少しだけ説明しておくと、羽賀を無花果が蹴り飛ばして神道を僕が押さえ込んだところ、2人とも暴れ始めて、僕と無花果も乱戦参加になった。それで危険な状況になったところを、橋田が機関銃を撃ち続けてくる事によって事態は大事にならなくて済んだわけだが、彼らのいざこざはいまだ、治る気配は無い)・・・・・・あれ?どこから始まったっけ・・・・・・?
ああ、そうそう、事態を抑えた後、
「校長室のファイルを全て運ぶ」
と神道君が言い出した。
「どうして?」
「校長室は利用しない。あそこは睡眠に適していない。だからあそこにある書物を全て移動する。必要の無いものは置いていけ」
「じゃあ拠点は・・・・・・?」
「情報室だ。あそこなら教師達が拠点にしているはずだから奪った後の道具をそのまま利用できる」
とそこまで言ってから、自らも本を取り出して運び始めた。
「どうして俺がお前の言う事きかなきゃなんねーんだよ」
「役に立たない奴は上の命令を聞いてればいいんだ。黙ってやれ」
「はぁ!?誰がそこまで言われて手伝うっつーんだ?考えりゃわかんだろうが」
「・・・・・・ああ、出来ないのか」
「・・・・・・出来るし!俺1人でこんくらい運べるっての!!」
という2人の喧嘩があったことを一応知らせておく。
ちなみに良い様に利用されているとは知らずに、マジで全部を(割と余裕そうに)羽賀は運び始めた。
「お前、パソコン得意なのか?」
道中、橋田になんとなく聞いてみる。
「うん・・・・・・昔から、そういうのばっかりだったから」
「へー・・・・・・それで眼がいいんだからすげーよな」
「・・・・・・如月は」
橋田は僕に向かって言う。
「如月はどうして殺人鬼なんかになったの?」
・・・・・・。
沈黙。
後方で喧嘩していた羽賀と神道も黙る。
無邪気な質問ほど恐いものはない・・・・・・って聞いたことがあるな。
「・・・・・・なんでだと思う?」
逆に聞いてみる。
「・・・・・・そういうのが好きだから?」
「うーん・・・・・・。別に好きじゃないかな」
「何で?」
「さぁ。僕にも分からないんだ。ただ、最初の殺人は、僕の私利私欲のためだったのは覚えている」
「・・・・・・」
橋田が黙る。
「僕は、家族を守りたかったんだよな・・・・・・」
「家族を?」
「確か、誰かが家に来て・・・・・・家族を殺していた・・・・・・。僕はそれが嫌だった・・・・・・。だから僕は如月の血縁とか関係なく『それ』を殺そうとした」
「・・・・・・」
「結局守れなかったけれど」
「そう・・・・・・なんだ」
「如月家は代々、殺人をしてしまうように神様に創られているんだよ。はい、終わり」
僕はそう言って無理やり話を終えた。
でも、どうなんだろう。
僕は本当に家族を守るために殺人を犯したのだろうか。
・・・・・・もしかして殺人を犯す理由を、家族を守るためにしたのかもしれない。
あの時の記憶が鮮明に覚えているような気がしていたけれど、要所要所抜けている。
・・・・・・僕はどっちなんだと思う?
誰に問うでもなく、そう思った。