7日目:Cinderella Battlotion
6時。
いつもどおり、ヒラオカの放送で戦線が始まった。
「木戸ー」
僕は戦線が始まって作戦会議が始まる前に、木戸を呼んだ。
「何?」
いつも通り、木戸は優しい反応をしてくれる。こういう対応は、僕としても話しやすくてありがたい。
「ちょっと皆に話がしたいんだ」
「いいよ。どうぞ」
そう言ってから、教壇に向かって歩いていった。
「作戦会議を始める前に、如月君から皆に話があるらしいんだ。聞いてくれ」
木戸はそう言ってから僕の場所を譲った。
僕はその位置に立つ。弁論大会にでも出た気分だ。皆の視線が一気に集まる。
「・・・・・・今、僕らはこの戦線において、明らかに優位に立っている。とてもいいことだと、僕は思う」
数人が頷く。
「でも、僕はこの戦線に勝つだけで、終わらせたくない」
「・・・・・・え?」
「確かに教師を倒せば、勝利できるかもしれない。でもそれでいいのか」
僕は言う。視線が様々な色に変わる。
「僕らが戦っているこの戦線は、アイツの手の上で転がされているゲームだ。そんなこと、僕は認めない。アイツの手のひらから飛び出てみせる」
「如月・・・・・・」
神道はこちらを向いて驚いている。
「僕はアイツを・・・・・・ヒラオカを殺す」
「・・・・・・」
沈黙が教室を包む。支配する。
「そ・・・・・・そんなことして大丈夫なのか?」
男子生徒が聞いた。
「向こうの攻撃力に・・・・・・俺達はハッキリ言って勝てないだろ?そんな奴を相手にしたら・・・・・・間違いなく・・・・・・」
「いや、向こうは、俺達がルールを無視しなければ攻撃してこない。だから俺達は、この戦線の最中に、アイツを探し出せればいいって訳だ」
「でも、向こう側が間違いなく守るとは・・・・・・」
その声を遮ったのは、
【限ります】
という放送だった。
「ヒラオカ・・・・・・!?」
【面白いことを考えますね。僕を殺すか・・・・・・。それも僕には一興だ。一驚でもあるね。そうだ。そうしてよう】
口調を変えながら続ける。
【僕を捕まえて殺してみせろ。先生方のみに戦えば勝てると思っているようではダメだ。僕を殺して見せろよ】
「殺す。間違いなく」
無花果が言う。そして睨む。
【そう、それでいい。この戦争は先生と生徒の戦いじゃない。僕にとっての宴で演舞で演劇で演技で戯言で三文芝居だ。そう、そうでなくちゃ。僕も戦争に参加しないとね。ああ、心配しなくてもいい。僕から攻撃していく事はない。君らが目の前に現れても僕は攻撃は出来ないだろう。だから、僕を見つけて殺せば勝ちってわけ】
「それで貴様いいのか?」
神道が眼を瞑って言った。
【いいよ。但し、それだけじゃ僕も不利だから、教師側には少し多めに武器を与える。高性能な武器にもする。ああ、君らにも少ないかもしれないけどあげるから、気にしなくていいよ。で、君らは先生達の戦争から避けながら、これからを戦うんだ】
つまりは、ほぼ状況は五分五分か・・・・・・。
「これからがゲームだな」
僕はそう言って、スピーカーを睨む。
【いいや、これからが戦争さ。6時から12時までの生きるか死ぬかの大決戦。それがこれからの物語だ。君らが大人になれるかなれないかが関わってくる決戦だ。そう、これは】
そこで1度間を空けた。
それを僕らの心に響かせるためか、あるいは牽制のための布石か・・・・・・。
分からないけれど、それに続けた。
【戦線名:シンデレラバトローション】
ようやく出せました。【シンデレラバトローション】
これで、1区切り。そろそろ物語がテンポ良く進むだろうな。