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7日目:Determination

 決意。


 人間が一歩前に踏み出すための最小限の努力。

 最大限の努力は『行動』である。


「如月君」

 一言だけで、僕は起き上がった。


「おはよう。如月君」

「おはようございます」

「あら、敬語を使うとは、私に敬服の証でも?」

「軽蔑の意識なら」

「殺すわよ」

「殺んのか、こら」

 勢いの無い挨拶で起床した。

 どうやら、あのまま寝てしまっていたようだ。態勢は、体育座り。背骨がかなり痛い。体に無理をさせていたようだ。でもまぁ、起きたときの爽快感は悪くは無い。ぐっすり眠っていたようだ。


「皆が、貴方が消えた事にあわてているわよ。『ヒラオカ』に質問する神道君や職員室の15人の先生に突っかかっている羽賀君をもれなく見ることの出来る特典付きで」

「あっそ。じゃ、いい加減奇術のように現れますか」

 僕はそう言ってから、教室の扉に手を掛けた。そのとき、痛みがほとんど引いていた事に気付いた。


「あ。そうだ、無花果」

 教室を出る前に声を掛ける。取り敢えず決意表明くらいはしないとね。

「何?」

「僕、殺人鬼だ」

 無花果が驚く。まさか、僕の口から言ってくるとは思わなかったのだろう。

「お前の言うとおり、殺人鬼だ」

「・・・・・・そう」

「殺すか?」

「いいえ」

 そう言って、無花果は笑った。

「貴方の力はこの戦線に絶対必要だから。せめて、外に出てから殺すわ。犯罪者殺しの殺人鬼さん」

「・・・・・・知ってたのかよ」

「当たり前よ。全員私がマークしていた犯罪者達だもの」

 

 そう。

 僕は無花果の言うとおり、犯罪者を殺す殺人気だ。理由は知らない。単純に僕には殺しの才能があるから、僕はそれを存分に生かすべきだと判断したのだろう。

 理由にしてはこじつけくさいので、あまり口外はしないのだが。

 殺しているのが犯罪者だと、一般人が知らないのは、警察がそれを公表していないから。

 理由の1つは恐らく、世間一般には知られていない犯罪者だから。

 そしてもう1つは、殺人鬼への賞賛。

 犯罪者のみを殺す殺人鬼を世間が認めることは、警察の権威の降下を意味する。人によっては指名手配犯であるため、顔写真も名前も出していなかったりする。その証拠に、世間一般が知っている、僕の殺した人数と、僕が殺した正確な人数では3人の差が出ている。


「貴方のやり方を認めるつもりは無いけれど、褒められたものではないわね」

「それはお前も一緒だろう?」

「私のやり方は褒めてもらおうとは思っていないわ。私は私達の意識、使命、仕事のために殺している。その辺りの違いはハッキリして欲しいものね」

「あっそ」

 僕らからすればどちらもたいした違いは無いけれど。


「じゃ、さっさと行こうぜ」

 僕は扉を勢いよく開いた。


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