6日目:20:00
さて、新展開の流れはどんな風に進むのかな。
それからのこと。
全員、センチメンタルになっていたのか、教室から出る人間は居なかった上に、静かな空間を保っていた。眠るということをするような人間も居ない。私は眠かったけれど。如月君が居ないと、私はすることがないから暇なのよ。こう見えても人間観察以外に楽しみが無いような人間ですからー。
そんな私達が動き始めたのは20:00だった。
教室の扉が開いて、入ってきたのは神道だった。
「行くぞ」
突然そう言った。
「何かするのか?」
男子生徒の1人が聞く。私も彼と同様、他人の顔と名前は一致していないが、あの男子生徒がどんな人間かは分かる。この間の陸上部の反射神経最高の人ね。橋田さんが言っていた情報が正しければ。
閑話休題。
その問に対して神道君は
「じっとしていても仕方が無い。向こう側が作戦を考えられていない間に一気につぶそう。こちらの方が人数は多いんだからな」
と答えてから、武器置き場(墓場とは違う、隣の教室)に向かって廊下を歩いていった。
「・・・・・・行こう」
木戸君がそう言って席を立って、教室から出て行った。私達もそれに応じる。
「・・・・・・あ・・・・・・無花果さん」
出たら橋田さんが声を掛けてきた。
「何?」
「・・・・・・なんでもないです。すみません」
彼女は何か言いたげだったがそう言ってから何処かに行くように視線を反らした。
その視線の先には、棺や他の同級生の死体がある隣の教室。・・・・・・まぁそういうことでしょうね。
「貴方が気にする事じゃないわ。全員が全員乗り越えるべき内容よ。私達も負傷者として気絶している人たちもそれを看病している人たちも・・・・・・ね」
私はそれだけ言うと橋田さんから目を反らして、武器庫の教室に向かって足を進めた。
とは言え、私は武器は必要としない主義なのだけれど。
と、そこで橋田さんの代わりに
「いいのかよ」
と羽賀君が聞いてきた。
「何が」
「アイツはあのまま放っておくのか?」
「いいのよ」
淡白に答えて、私は脚を止めずに過ぎ去ることにした。
「仲間じゃないのか?」
「・・・・・・違うわ。今はそうでも、明日には敵かもしれないわ」
「じゃあお前は!!」
羽賀君はそこで1度言葉を区切る。皆こちらを振り向く。
「お前はどうして泣いたんだ」
「・・・・・・さぁ」
私のことすら私には分からないのよ。
それが全ての答えなの。
私はそれだけ答えて、武器庫の教室へと入っていった。
「・・・・・・武器・・・・・・か」
私はなんとなく。
本当になんとなく。しかし意味深に。
ナイフを取って、上着の内ポケットに入れた。
新たな展開。
でもこんな感じの話って良くあるよね・・・・・・。