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5日目:失敗は成功のもと

 失敗してこそ意味ある結果がうまれることもあるのだ。


 それすなわち、失敗をも成功の一部に加えられたらば、それが最善なのだ。

 計32人全員揃った俺達を見て、

「お前ら・・・・・・何をした!」

 時雨が当然の疑問をぶつける。答える義務は僕には無いから、残りは神道に任せることにした。

「簡単なことだ。俺達は、行動を基本的に制限されて5人で戦うのが限界である振りをしたのさ。羽賀と橋田には作戦を伝えずにな」

「ああ・・・・・・。そうだったのか」

 道理で、羽賀が異常に芸達者だと感じさせられたわけだ。知らなかったからあんな迫真の演技が出来たわけだ。

 いや、しかし作戦は全員に伝えたんじゃなかったのか・・・・・・?


「敵を欺くにはまず味方から・・・・・・か。羽賀と橋田の声と表情が真剣マジだったわけだ・・・・・・」

 時雨はそう言って笑った。

「コレは一杯食わされた。まさかこちらの作戦をもひっくるめ、自らのダメージをも武器に変えるとは・・・・・・俺の負けだな」

 時雨はそう言って、1人で拍手した。虚しい弾く音が、廊下に響き渡る。


「で。どうするつもりだ?」

 時雨は表情と口調を戻して、僕らに諭すようにそう言った。

「言っておくが、俺は負けたが俺達の負けではない。お前らにはダメージが蓄積されている事は言うまでも無い。そこには立っているのがやっとの人間が大半のはずだ」

「・・・・・・」

「俺達はほぼ万全を喫している。これ以上に俺達に優位な状況は無い」

「・・・・・・そうだな。ダメージはこちらの方が大きい。そして貴様らは武器も体力も整っている。一斉攻撃には適した状況ではないのは明白だな。こちらの方が圧倒的不利だ」

「・・・・・・そこまで分かっていて、何故俺達に攻撃してきた」

「貴様にココで勝つためだ」

 言いながら神道は自分の頭を指差した。


「だとすれば、お前の負けだな。しっかりと状況が整ってから戦いを望むべきだった」

 そう言って、教師連中は銃を構えた。

「言い残す言葉を、2.5文字で答えろ」

「くっ・・・」

「見事だ」

 時雨は銃の引き金に指を掛けた。


 しかし。


「・・・・・・な・・・・・・!」

 教師達は自分の武器を見て声を上げた。

 彼らの武器が崩れ落ちたのだ。


「な、何だ!?」

「・・・・・・く・・・・・・くくく・・・・・・」

 悪者のように神道は笑う。

「貴様が何かしたのか!?」

「おいおい・・・・・・何のために羽賀が煙球をぶちまけたと思っているんだ?」

「・・・・・・!?」

「お前らの視界を悪くして、全員が一斉に登場して、次回に通じれば格好良いとでも思ったのか?」

 神道はそう言って、更に悪い笑顔を浮かべる。


「・・・・・・しかし!俺はしっかり確認した。羽賀も神道も動くことはできていなかった。視界を悪くしたとて全く意味は無いだろう!」

「馬鹿か。俺が羽賀に作戦を伝えていないわけが無いだろう」

 さっきとは真逆のことを言って、更に

「それはつまり、俺と作戦を共有していたメンバーはここに居る全員だ。羽賀に演技指導するのには骨が折れたがな」

 と神道は笑った。やっぱり教えていたのか。

「だから何だって言うんだ!!」

 怒り心頭といわんばかりの顔で時雨が神道に今にも突っかかりそうな勢いで叫ぶ。


「だから・・・・・・」

 面倒くさそうに神道はいう。

「ここにいる全員に作戦を教えている。しかし、ここには1人居ないだろう?」

「・・・・・・?」

 時雨は僕らをひとしきり眺めてから「まさか・・・・・・!?」と驚いた表情をした。

「そう。無花果だ」

 神道は言った。と、同時に無花果が現れた。

「私は貴方達が羽賀君たちに気を取られている間に、如月君のナイフを奪ってから彼らと同じように天井に身を潜めた。そして煙幕と同時に貴方達の武器を壊したの」

 無花果がそう言って、身形を整えて僕の横に立ち、腰のホルダーにナイフをしまった。ちなみに彼女の証言どおりナイフは『奪われた』のである。勝手に抜き取られた。悲しきかな、嘘かな。


「・・・・・・ここで一斉に殺そうという算段か。見事だな」

 今度こそ心からの賞賛のようにそう言ってから、

「冥土の土産だ」

 と時雨は言った。

「お前らはどうやってココに来たんだ?」

 お前ら・・・・・・すなわち、待機部隊以外か。

「下の校長室を占拠していたことは貴様らも知っているだろう?そこの上が丁度、この職員室だったんだよ。この1回のために校長室を拠点として占拠したんだ。そしてそこの天井を爆破して、下から現れたというわけだ。無花果の行動がばれないように、爆発自体と崩れる音で、カモフラージュまで加えてな・・・・・・」

「なるほどな・・・・・・」

 時雨は言ってから、だるそうに、ポケットに手を突っ込んだ。


「負けたな・・・・・・頭ではお前の方が上だった」

「そうだな。分かったらさっさと死ぬか、殺されろ」

「ああ。分かったよ」

 時雨はそう言って――。


 ポケットからハンドガンを取り出した。後ろの教師達も同じように構える。

「・・・・・・隠し持っていたのか」

「こんなこともあろうかと・・・・・・な」

 ぱん。

 1発の銃弾が発砲された。

 

 クライマックスに突入するのか?な?


 わかんねーや。

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