表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/88

5日目:人間万事塞翁が馬


 人生、思いがけないことが幸福を招いたり、不幸につながったりして、だれにも予測はつかないということ。

 だからやたらに喜んだり、悲しんだりしても始まらないと言う事。




 次の日は、僕は相変わらず屋上で過ごしていて、無花果もついてきた。そして、神道もついてきた。

 そうなった理由について少し話しておこう。


「僕、屋上行くよ」

「私もついていくわ」

「勝手にしてろ」

 と神道はいうのだが、

「おいおい、最近お前ら2人で何してんだよ」

 と羽賀が突然言い出した。

「僕が行こうとするところについて来るんだよ」

「そんな言い訳が通用するわけ無いだろ。・・・・・・まさか!」

 羽賀がそう叫んだ。

「・・・・・・お前ら・・・・・・そういうことか」

「いや、違うと思うわ」

「やっぱりそうなんだね!!」

 橋田までテンションを高くして叫ぶ。しかもワンテンポ遅い反応だ。

「違うって!」

「じゃあ証明してもらおうか・・・・・・」

「羽賀・・・・・・。アホか」

「証明」

「・・・・・・どうやって」

「簡単だ。今日一日、行動の全てに神道がつく」

 羽賀がそういうと、

「は?」

 と神道は珍しく間抜けな声を出した。

「俺と橋田はここで監視しなくちゃいけないからな。だから神道がついて、疑いを晴らさなければならないからな」

「どうしてこの俺が・・・・・・」

「だーかーら!な!俺と橋田はここで監視を――――」

「俺が協力する理由は無い」

「よし!わかった。これは俺と橋田の貸しにする」

「え!?私も!?」

「だから今回は。な!」

「・・・・・・いいだろう」


 以上である。勝手な妄想で話が進んだ上に、僕らは余り話しに介入していない。全く・・・・・・迷惑な話である。取り敢えず戦線が始まるまではこうやって寝転がっておく事にしよう。


「・・・・・・なぁ。俺、帰っていいか?」

 突然神道が言い出した。

「どうぞ」

「ただ、羽賀君や橋田さんに怒られても私は知らないわよ」

「・・・・・・アリバイ証明してくれはしないか?」

「いいわよ。但し」

 と無花果は僕の横に座ったまま、僕は寝転んだまま

「「貸しで」」

 と同時に言った。

「・・・・・・仕方あるまい」

 と神道は言ってから、屋上を出て行った。

「暇だ」

「暇ね」

「何か無いのか?」

「そうね。私達が昨日、逃がした女教師の対応について話をしてもいいかしら。昨日から気になっているのよ」

「いいよ。どうせ暇だからね」

「で。彼女は恐らく私達のことを話すわよね。そうすると私達が狙われる」

「そう・・・・・・だな」

「とすれば戦うのはどうやら私達ということになる」

「ああ。だから?」

「私達は校長室には出入りできないわね」

「あー・・・・・・。なるほどな」

「それに今も監視されているかもしれない」

 ・・・・・・・マジか。

「気配は感じないから監視されていることはないかもしれないけれど、ね」

 そう言って無花果は立ち上がった。僕も次いで立ち上がる。

「何処かへ行くのか?」

「もう6時になるわ。そろそろ戦線へ行きましょう」

「そうだな」

 僕はそう言って屋上を降り始めた。

 そして戦線5日目の今日、僕は絶望的な状況になってしまう。

 

 4日目のことが僕らに返ってきたのだ。

 それは帰ってきたのか、還ってきたのか。僕にはもう分からない。

 人間万事、塞翁が馬。

 何が僕らにどう関わってくるかは、分からない。

 それがいいことか、悪いことかさえ。


 そして、まだ始まってすらいないということ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ