4日目:生殺与奪
生かすも殺すも僕のこの手に掛かっている。
奪うも与えるも僕の意志に掛かっている。
「さっさと始めましょうか」
そう言って、無花果は廊下の先生に向かって動き始めた。
「ちょ、待った!」
僕が叫んだがもう遅い。
無花果が動くということは、自然、教師連中は攻撃されると身構えたりこちらに攻撃したりする。そしてそれらの対象は僕でも有るのだ。
人数は計5人。廊下側に2人。機関銃が1、刀が1である。そして踊り場には銃が3人。
そして、動き始めた無花果には機関銃。残りは全て僕に向く。
「くっそが!」
僕は3人の銃撃を避けるために廊下へと逃げる。
「落ち着いて!その銃はS&W M39よ!」
「んなもん言われて分かるわけないだろう!!」
一般人がそんなもんしるか!いや、一般人ではないけどそういうことではなく。
後ろから数発撃たれる。当らないように体を低くして僕は廊下を走る。そして教室に入り込む。
「装填数は8+1!」
その教室の外から声が聞こえる。
「表記の意味が分からん!」
更に撃たれる。教卓を盾にして銃弾から身を守りそして教室を出る。刀を持った男の先生(剣道部の顧問かな?)もやってきた。
「とにかく9発だから!」
僕の正面で、高く飛び上がって機関銃を避けている無花果がこちらを心配して言う。
「数えてねえし!!」
正直に無花果に言うと、
「もう!」
という珍しく女っぽい反応をして、降りてきた。
「銃、貸すから。頑張って」
言いながら僕に先生方と同じ銃を渡すと、機関銃の弾を避けるために高く飛び上がった。
「って!」
僕も避けなきゃいけないってことじゃん!
僕は彼女ほど身軽ではないので、そのまま教室の方へと転がり込む。
目の前には先生方4人が集合。
「あ。初めからこうすればよかった」
僕はナイフを取り出して、
刀を持った先生の首筋に切りかかった。
「なッ!」
先生は予想外の行動に驚き、一歩下がって避ける。
が、体格差(残念ながら僕はどちらかと言えば小柄なのである)に気付いたのか右手で僕の首を掴んだ。
「よっし!捕らえ――――」
僕はその脳天に銃を発砲した。返り血が服と肌につく。
教師の大きな体躯は教室の床に倒れた。
「・・・・・・!」
その場で初めて「死」を見た女教師2人と男教師1人は、動きを止める。
まあ、期せずしてついた血を利用してみようか。
「・・・・・・ハハッ!!」
多分、今僕は凄く怖い笑みを浮かべている。先生方の青ざめた顔がその証拠だ。
「行くぞ」
僕はそう言ってナイフを構えた。
「う、うわぁぁぁぁぁ!」
「いや・・・・・・!!」
「きゃああああああ!」
という3人の叫び声が上がって教室を出て行った。
「無花果!そっち・・・行っ・・・た・・・」
廊下の無花果を見て、僕は驚愕した。先生方もさらに止まっている。
「準備完了」
機関銃を持っていた先生の体を踏みつけて、機関銃をかまえている。
「私の戦い方は相手の武器を使うこと」
そう言って機関銃を見せびらかすように言った。
「MP40 少し古い型の短機関銃・・・・・・装填数は32だったかしら」
と(描写は割愛の)機関銃を構えた。
「使い慣れていないから、如月君気をつけて」
「うおわ!!」
「気を」のタイミングで撃ちはじめた。こいつは本当に何考えているんだ!
僕は精一杯の努力で教室へと転がり込んだ。
そのまましばらくして、銃撃音が聞こえなくなった。
「・・・・・・凄まじいな」
廊下や壁には数えられるほどしか弾痕はなく、ロッカーに刺さっているのも少ない。窓ガラスやコンクリートが壊れているのは目に入るが、それよりも酷いのは教室の前で血溜まりを作り上げている教師の姿。体中に穴が開いている。
凄惨な光景である。本当にコイツは何て事をしたのだろうか。
それを見てから無花果を見る。
無花果は頬をコンクリートか窓ガラスか何かの破片で切っている。そして、笑顔で機関銃を持ったまま言った。
「・・・・・・快・・・感・・・・・・!」
「セーラー服じゃないけどな」
僕はそう突っ込んで、溜め息をついた。
最後の部分は
「セーラー服と機関銃」です。昔のドラマです。
最近の中学生は知らないんじゃねえかな。
僕が知ってるのが奇跡だろう。