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4日目:前途多難

 前途多難で空前絶後、奇奇怪怪だから前途洋洋!


【6時になりました。開戦です】

 いつも通りの放送によって戦線が開始した。

 がその後すぐに、

【前回の戦いにより優劣がつきました。現在、優勢なのは3-2です。よって救護用品、武器、食料品の優劣をつけます】

 それだけ言って音声が復活する事はなかった。

 そしてその代わりのように、エアコンのふたが開いて物資が届き始めた。


「じゃ、行きましょうか」

 無花果は僕を見ていった。

「僕と一緒に行かなくてもいいだろ?」

「私は貴方から一時も――」

「あー。分かった分かった」

 これだけ見ると恋人関係だな、本当に。昔は好きだった女子に狙われる男子。意味分からん。

 だがこれから先しんどそうな人生。前途には難しいことが多いです。


 渡る世間は鬼ばかり。


 見張りを担当した羽賀と橋田の2人は授業だろうがなんだろうがいつも1階のロビーのソファーで校長室の見張りを担当し、誰かが入るのを見れば探索部隊に連絡する。武器の中には盗聴器や隠しカメラ、時限爆弾等に対する探査機もある。教師側は盗聴器等をあらかじめ仕掛ける事は禁止されているので何ら問題はないが、念のためである。


「ん。来たか」

 羽賀がこちらを見ずに言った。

「よく僕らってわかったな」

「お前らの足音の立て方は特殊だからな」

「特殊?」

「忍者と一般人の間。音を立てないように努力しようとしている感じだな」

「・・・・・・なるほど」

「それもそうね」

 と2人して彼の言い分に納得してから校長室に入った。


「や」

「よう」

 中には橋田と神道が居た。

 2人して裏向きのしてトランプを広げている。

「何やってんだ?」

「神経衰弱」

 橋田がそう言って右手の30枚くらいのトランプを見せた。

「俺が実験しているんだよ」

 と神道が言う。

「何の実験だ?」

「1度だけトランプを全て表向きにして置き、裏返す。それだけで神経衰弱だ。今は1度も失敗してない」

「実験結果は?」

「どうやらコイツの目の力は脳にも影響を与えているようで、瞬間記憶能力も持っているようだ。コイツの目の力は計り知れないな」

 一連の話を聴いて僕が感じたのは、

「あっそ」

 と淡白だった。


「これから貴様らの能力も随時研究するからな。覚えておけ」

「「忘れた」」

 期せずして僕と無花果の反応が一緒になった。これが巷で噂の男女関係を深くするための合言葉「運命」なのだろうか。まぁ、間違いなく勘違い類だが。


「僕らは絶対ここにいないといけないのか?」

「1番ココが安全だろう?」

「それはそうだけど、僕は窮屈なのは苦手なんだよ」

「ならば、屋上に行けばいい。それくらいは大丈夫だろう。お前ならな」

「そうさせてもらうよ」

 入ってきたばっかりだがそのまますぐに身を翻して校長室を出た。



「貴方には窮屈な方がぴったりよ。牢屋みたいで」

 屋上へと向かう僕に相変わらず、無花果がコバンザメのようについてくる。

「だから別についてこなくてもいいって」

「私は――」

「一時も目を離さないんだろ?分かったよ」

 僕はそのまま階段を上る。何の会話もなく。



 次に会話したのは5階だった。屋上へ上る直前。


「・・・・・・無花果。僕はさ、群れるっていう行動は苦手なんだよな」

「そ。私はまあまあ好きよ」

「なぜかというと、団体行動が苦手なんだよ」

「貴方らしい解答だけど、要領を得ないわね。何がいいたいの?」

「だから僕は」

 僕は両手で4階と5階の間の踊り場と5階廊下を指す。


「集団相手には向いていないんだ」

 そこには戦争態勢を十分に整えた教師連合が居た。何か「動くな」とか「悪いけど殺すね・・・・・・」とか先生方(♂♀問わず)が言っている。

 本当に邪魔ばかり入る世の中ですね。

「そう。で?」

「無花果のやり方を見てみたいなって」

「ダウト」

 ばれた。単純に戦いたくないだけです。


「まぁいいわ。私も死にたくないし」

 そう言って、無花果は自分の十字架とハートとスペードのネックレスを右手で握った。


「任務遂行。あなた方を殺します」

 無花果はそう言って強い目で全てを睨んだ。



 唯我独尊が座右之銘なら孤影悄然で絶体絶命!

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