2日目:会議
【12時になりました。戦線終了です。これ以上の攻撃は、こちらへの敵対と看做します】
昨日と同様のアナウンスで、みんなはクラスに帰ることにしたが僕は、
「あなたは服を替えてきたほうがいいわ。それを見るのは、他の人たちとしては酷でしょうから」
という無花果の意見を参考に、先に更衣室とシャワーを使い、制服を着替えた。
そして、それから教室に入ると、
「如月君。ちょっと・・・・・・」
と、木戸に呼ばれた。
全員椅子に座って、黙っている。ふむ、一体何があったのかわからないな。嘘っぴー。
「何?」
「話してほしいんだよ。君の考えを」
「さっきいったろ?皆には覚悟が足りない。昨日、そこの陸上少年が殺せなかった理由もそんなところだろう」
「ああ、それはそうだろう。だからそっちじゃない」
木戸は僕に言った。
「そっちじゃない?」
「僕らがどうすればいいかってことなんだ」
「・・・・・・そうか。そんなのは、神道に聞いてくれよ」
「彼は何も言わなかったよ。俺以外の人間に俺と同じになるのは無理だ・・・・・・だとさ」
なるほど。彼らしいな。
「木戸。君はどう思う?」
「僕は・・・・・・皆が戦う・・・・・・じゃないね。殺し合いに対して覚悟を持つしかないだろうと思う。先生方と僕らで殺しあわないといけないと言うのは・・・・・・心苦しいけれど、少なくとも僕は学級委員である限り、皆の命だけは守るつもりだ」
「・・・・・・なるほどね・・・・・・」
思ったよりも強い覚悟だ。僕が来る前から話しはしていたようで、クラスメイト全員覚悟に溢れている。
「じゃ、それでいいんじゃない?」
「ダメだ。君の意見が聞きたい」
「何でだよ」
「待機部隊全員が納得していないから。そして、彼らは君に聞けといった。それ以上何も言おうとしない」
・・・・・・・そうか。僕に丸投げ。最悪だな。と思いはしたものの、信頼されていると考えるのが花だろ言う判断になった。
「・・・・・・まだ、覚悟が足りないんだ」
「・・・・・・」
「死ぬ覚悟と死を受け入れる覚悟だ」
僕の発言に皆の目が光る。
「僕の行動によって、これで先生方も油断はしない。攻撃態勢も完全に整ったはずだ。だとすれば、自分が殺されると言う事・・・・・・死んでしまうことも覚悟しなくちゃならない。同時に、他の誰が死んでしまったとしても、その所為で取り乱したり、落ち込んだり、自傷行為に走ったり、逃げたりしちゃだめだ。冷静にそれらを受け入れなきゃいけない」
「・・・・・・」
「それらの覚悟があるかどうか・・・・・・ってことだよ」
僕はそう言って、席に戻る。
「皆・・・・・・やろう」
すぐに木戸が言った。
「このままじゃダメだ。彼の言う覚悟を持って戦おう。これは戦争なんだ。殺してでも勝たなきゃダメだ。強制はしない。待機部隊はダメでも、新しい部隊を作ってその人たちは保護する」
「はッ。盲点つかれたな、如月」
羽賀が言うが、そんなことはない。僕はあえて盲点を残したつもりだ。逃げたい奴は逃げればいい。
「・・・・・・やるかね」
羽賀が立つ。
「やります!」
橋田が立ち上がる。
「俺は初めからそのつもりだがな」
神道は少しふてくされた感じで立ち上がりながら言った。
その3人の勢いに乗って、
「やるぞ!!」
「おお!!」
「頑張ろう!」
と、どんどんと勢いよく立ち上がる。
いつの間にか無花果も立ち上がっていた。全く、前回とは皆勢いも威勢も覚悟も違う。いい気なもんだね。
と、まぁ僕も言えた口ではなく、いつの間にか立ち上がっていた。