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2日目:授業


 創造の反対って模倣なんだそうだ。


 でも、模倣の反対って、独創って感じだよな。


 生の反対は死だけど、


 生きるの反対は殺すだとおもうんだよ。


「待てよ!如月」

 颯爽(と自分では思っている)と食堂を後にした俺の後ろから、羽賀が声をかけた。

「何で逃げんだよ」

「・・・別に逃げてはないよ」

「いいや。俺にはわかる。木戸のことを避けてただろう?」

「・・・優等生は苦手なんだよ。木戸のことが嫌いなわけじゃないけど、なんというか・・・気まずいんだよ」

「あー。なんとなく分かるな。まぁいいや。ところで物は相談なんだけど、授業サボらね?」

 ・・・ああ。そういえば授業受けなきゃなんないのか。いやだな。もし僕が来世生まれるなら、霊長類で二足歩行、衣服を着て道具を使えるような生物に生まれる事にしよう。1周回ってきたね。


「いいよ。面倒だからな。真面目に授業受けとくよ」

「そうか。俺はサボる事にしとくよ。進学はしないしな」

「しないのか?」

「ああ。里を継ぐんだ」

「里を継ぐ?農業かなんかか?お前、こんな街中に田舎から来てたのか?」

「あー、まぁそんな感じだ。じゃあな」

 と言って、上の階に向かって上がっていった。ちなみにうちの学校の屋上は生徒に解放されている。きっと、学校が「マンガやアニメみたいに屋上が開放されてない?上等だ!俺は解放してやんよ!」と、天邪鬼的な考え方を発信したに違いない。嘘の正直の正直なのだ。


 そして、しばらくして授業開始のチャイムが鳴った。羽賀以外にも数人、姿が見受けられなかったが、サボりと言う事だろう。とはいえ、僕にも記憶があるわけではない。ほとんど居眠りに時間を費やしていたため、全く勉強をしていない自信があるのだ。これが神様から僕に与えられた試練なのだとしたら、一体僕は何を悪い事をし「起きろ、如月」

 冷静な声に邪魔され、オチがいえなかった。残念賞みたいなものが僕の頭上から下に向けて血潮のように流れていく。嘘なのさ。


「如月。作戦会議だ」

「は?」

 目の前にいたのは神道だった。

「もう6時間目とHRが終わった。あと30分で戦線が開始するそうだ」

「あぁ・・・了解」

「あと、追加事項だ。生徒側の授業によって、作戦会議を邪魔されるというデメリットを解消するために、戦線が始まると同時に攻撃・・・つまり、時限爆弾を仕掛ける事は許される事になった。明日は、お前にその仕事を担ってもらう。いいな。否定しようとも、これは命令だからお前の発言なんざいちいち俺は聞かんぞ」

「がうがう」

「何を言っている?」

 冗談でやったことに本気でにらまれてしまった。余りやってると得ではなさそうなので、目をそむけるという方法で回避しよう。


 教卓を見ると、木戸が数人と会議のようなものをしている。

「アレは何してんだ?」

「今回の作戦だそうだ。武器を見たところ、救援物資が足りないように見られるから、保健室から物資を調達するようにとの事だ。残り数名は、新しい設備が他に増えていないか、校内を探索するらしい」

「へぇ・・・。まあまあ考えてんだな」

「・・・如月。もう一度だけ質問する。お前は一体何を考えているんだ?」

「・・・・・・今日には分かるよ。神道ほどの頭脳があれば容易に理解できるだろうよ」

「・・・・・・チッ」

 舌打ちだけして、神道は自分の席に戻った。


「さてどうなるもんか」

 そう呟いたと同時に、エアコンのカバーが開く。

 そして、食料品と武器が落下する。

 ということは・・・。

 俺の考えと同時に教室にあの声が鳴り響く。


【午後6時になりました。戦線を開始します】


 2日目の戦線が始まった。




 つまりは、動詞になるだけで受け取り方が変わる。


 死をプラスと考えるか、マイナスと考えるかだよな。


 僕はプラスだと思うけど。

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