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短編3 『槍サー騎士団』の活動録その1 前編

 ここは帝都郊外の貿易都市と帝都を繋ぐ整備された公道、あたり一面は何もないが広がっていると言って差し支えのない広野が続いている。今日も貿易都市からの貿易品が帝都へと輸送されているいつも通りの光景…


   ドオオーーーーォォン…


 とはならなかった。公道をおよそ時速40㎞/h程で爆走する大型トラック。その後方にはゆっくりと追尾する浮遊する帆を張った船。しかもその船の帆にはドクロマークが描かれていた。その浮遊する船は再度ドオーンと爆音を鳴らすと巨大な大砲の弾が大型トラックの真横に着弾し弾け、衝撃でトラックが大きく横揺れする。


「ぎゃはははは、へたくそー!次は俺にやらせろ」


「ばっか当てたら中のものが傷むだろ、当てずに横転させんだよ!」


 船からは薄汚れた格好をした数人の男達の怒号とも笑い声とも分からないような声が響く。さらに数発の砲弾が発射されそのたびにトラックは右に左にと上手に躱す。するとトラックの荷台の一部にある天窓のような部分が開き、そこから一人の少女?がひょっこりと姿を現した。その様子は船からも確認できただろう船からの攻撃はピタリとやんだ。


「誰か出て来たぞ。まさか帝国の兵を用心に雇っていたのか?」


「…にしちゃあどうみても、ちんちくりんのガキじゃないか」


「あんなちんちくりんのガキに何が出来るんだよ」


 わははと船の中から嘲笑している様子がトラックの上の少女は気付いたのだろうか、猛スピードで走り揺れるトラックの上に平然と立つとどこからともなくその体躯と同等、いやそれ以上の装飾された突撃槍を手にし…その槍を、浮遊する船の船底へと思いっきり投げ飛ばし命中させる。

 ドオオオォンと大きな衝撃音と共に船がぐらりと傾く。嘲笑していた船の男達はすぐさま反撃にうってでる。船は再度大砲を撃ち、さらに上から爆弾も投下される。だが少女は微動だにしなかった。トラックの上で爆発が起き黒煙に包まれる…だがその黒煙の中からほとんど無傷で無事なトラックが走り飛び出て、荷台の上には少女だけじゃなく男女合わせ7人が乗っていたのだ。


「っな、あのガキ1人じゃなかったのか!?」


「まずい…まさかありゃ騎士団か!」


 すかさずトラックの上の3人が突撃槍を構えると、おそらく魔法の一種と思われるエネルギー波の様なものを先端から発射し浮遊している船底に攻撃を仕掛ける。


「くそっ、このまま船底から浮遊燃料が漏れたら…仕方ない!」


 船はトラックが走る公道から逸れて、ゆっくりと船底を地面に擦り付けながら不時着する。トラックはそのまま少し距離を置いた位置で停止し、トラックからは7人が、船からは20人もの男達が飛び降り対峙した。


「てめぇら、相手はたった7人、しかもうち1人はちんちくりんなガキだ。数で圧し潰せば大したことねぇ!!」


「…誰が…誰がちんちくりんだゴラァ!!すり潰すぞおらぁ!!」


 真っ先に啖呵を切って飛び出したのが7人の中でも一際背の低い少女、まるでハイレグのような白い薄い布にビキニアーマーのような各部装甲を身につけた、明るい茶色の髪をポニーテールに結った女の子がまっすぐ男達の中に飛び込んでいった。当然男達もとっ捕まえようとサーベル状の武器を手に襲い掛かるが、少女の左右を二人の女性が盾を持ってカバーに入る。


「あーもー、先走らないで!」


「とにかく道を切り開くぞ、カリーナ!」


 盾を持つ女性の一人、黒い軍服にも似たような服装に身を包んだ銀髪で綺麗な長髪の女性がカリーナと呼んだ肩や脇が出ているミニスカドレスを着た金髪ポニーテールの少女と共に、盾を持つ反対の手に握る突撃槍を二人が同時に振るう。その威力に男達は弾かれよろけ後ろに下がる。その間にも少女はさらに奥に奥にと走り続ける。


「男共ぉ!!」


「わーってるって!いくぜ!!」


 銀髪の女性に叫ばれてそれに応えるように後ろにいた男3人はぞれぞれの手に持つ突撃槍に魔力が込められる。


「スパーキングランス!」


 3人のうちの一人、オレンジ色のアウタージャケットを着た白髪短髪男がエネルギーが充分に込められた突撃槍を地面に突き刺すと、無数の突撃槍状のエネルギーが地中から飛び出して敵側の男達数名の身体がダメージを負った。


「今だ、行くぞマコトちゃん!」


「はいキッドさん!!」


 キッドと呼ばれた青と黒のツートンジャケットを着た男は蝙蝠のような黒い翼を生やし上空に飛び立つ。マコトと呼ばれた真っ白な学生服のようなものを着た少年は地上で真っすぐ突撃槍を構える。


「ダブル、ファイナル、スラァーッシュ!!」


 上空と地上、その2つからエネルギーの塊と化した槍で突撃する二人。その導線上にいた男達は全員吹き飛ばされ地面に突っ伏すこととなった。そんな中で少女は走り切ったその先、敵船までたどり着いていたのだ。するとその少女の後ろから、全身を真っ青なキャットスーツで包み手足にやたら強調的な大きめの白いブーツやグローブを付け、黄色いショート髪の女性が後ろから追いついた。


「…マリナージュ、あんた…自分の武器を船にぶん投げておいてそれを真っ先に回収しに行くとか…ばっかじゃないの?感情的になり過ぎよ」


「…うっさぃシアンガン」


 マリナージュと呼ばれた少女がズポリと船に突き刺さったままの、自分が投げた突撃槍をスポッと抜く。そんな二人の元に敵の男達が集まる。


「マリナージュ…まさか『一番槍のマリナージュ』か!?」


 その一言に敵の男達はざわざわと騒ぎたった。そんな中でマリナージュと呼ばれた少女は回収した突撃槍を高々と上に構えると、いつエネルギーを溜めたのか槍から莫大なエネルギーが上空へと撃ち出され、エネルギーはそのまま上昇から降下に切り替わり…空中で拡散したエネルギーがまるで雨のように敵集団に降り注いだ。


「…相変わらずいつ見ても滅茶苦茶するな」


「こいつらが悪いんでしょ、私の悪口を言うもんだから」


 マリナージュとシアンガンが駄弁っている目の前には、攻撃をもろに喰らい撃沈している敵の男達が地面に転がっている。帝国側のメンバーはそんな男達をどこからともなく取り出したロープで拘束を開始した。


「これで全員か?」


「こいつらの情報とかはない感じか?」


「てか、どうやって運ぶんだ?」


 あれこれ言い合いながらほぼ全員縛り終えると、トラックの助手席から暖色系のセーターにロングスカートを着たほんわかとした雰囲気のオレンジ髪の女性がとてとて走って…いや歩くのとほとんど変わらないくらいの速度で向かってきた。


「みんなー、お疲れ様~。今軍から通信が来て海賊の人達を引き取りに来るからそこで待っててって。運転手さんも急いでないから軍に引き渡し終わってからまた引き続き護衛をお願いしますだって~」


 それを聞いて全員やることやったしゆっくりするかといったように、気を抜きそれぞれ自由に行動し始めた。


「て…てめぇら、一体…一体なにもんだ!」


「っふ、我々を知らずして運の悪い連中だな。そう私達は、帝国騎士団ランキング46位の槍サー騎士団!」


   「「「「「ヤりサー!!!???」」」」」


 高々と自慢げに名乗るマリナージュ。そして捕まったまま男達のどデカい声が辺りに響き渡る。その言葉にカリーナは顔を真っ赤にしてオレンジ髪の女性に泣きつき、シアンガンは抱腹絶倒、涙を流して汚い笑い声をあげ続ける。男3人はバツが悪そうに苦笑いする。


「…あ、そうか、槍使いのサークルか」「あー、なんだ」「ビビらすんじゃねーよクソが」


「…これ、セクハラで誰を訴えればいいんですかエマさん」


「うーん…ごめんね。また名称変更の要望一緒に出そうね」


「まぁこれだけ綺麗なおねーさんが揃ってたら勘違いも仕方ないかもな」


「あら、それは誰のことを言ってるのかしら?エッチでナイスバディなお姉さんだなんて」


 マリナージュが体をくねくねさせながら魅惑的なポーズをとる。マリナージュの言葉に男達は目を輝かせて反応する。が、その視線はマリナージュの遥か上を探し見ている。


「「「うおぉー!エッチでナイスバディなお姉さんどこー!」」」


「ふふっ、目の前にいるじゃな~い」


「「「どこですかエッチでボインなおねえさんはー!」」」


 マリナージュの言葉にさらに別の誘惑ポーズをするマリナージュの周りばかりを探す男達。そして限界を迎えたマリナージュが男達に一発ずつお見舞いする。


「全員はっ倒すわよ!!!」


 そんな呑気?な雰囲気を、船から遠く離れた茂みからこっそりと覗く複数の影。そうあの戦いから一足先に離脱したおかげで捕らわれずに済んだ海賊の残党達だ。


「みんな捕まっちまって船も回収できそうにないし…これで一文無しになっちまうんすけど、どうしましょう…」


「バカ言え、むしろラッキーだろ。…『一番槍のマリナージュ』、アイツ1人搔っ攫えば人質としても国外に売るにしても高くつくぞ。…残ってるメンバーを確認するぞ、あのガキを捕まえる作戦会議だ」

次回投稿は3/4予定

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