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聖女はクソです  作者: しおやき


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3/18



 「・・・・っ」


 気を失って目を閉じた時からどれくらい経ったのか分からなかったけど、次に目が覚めると視界いっぱいに広がったのは白い色をした壁だった。


 (ここ…どこ?)


 薄っすらとしか開かない目。

 気力が足りなさすぎて白目を剥いているような感覚に陥る。もしかしてあの男に拘束されて変な場所に連れてこられたのだろうか。それでも、見たことのない風景にでさえ、ボーっとしたまま喉を通りすぎる空気に自分が生きていることを実感した。


 「あら、起きられましたか?」


 手を動かそうとして力を入れた瞬間、ガチャっと音が聞こえてきた。一瞬焦って身体が固まったけど、そもそもこんな状態で逃げられるわけかない。諦めに近い感じでため息をついた私は、近付いてきた足音に乗ってかけられた女性の声に首を傾けた。


 「大丈夫ですか?動いてはダメですよ。少し安静にしてください。ご自身が誰かわかりますか?」


 真上にヌルっと突如現れたその声の主は、少し強めの声で私に喋りかけてくる。やっぱり見かけない人だと思いながら、口を開いて声を出そうとしたとき、その女性に遮られてしまった。


 「喋らなくて大丈夫ですよ。頷くか横に首を振るかしていただければ」

 「・・・」


 病院に居る時のような言われようだ。これでは重症患者扱いに見えてしまう。確か引きずり込まれて馬乗りされて首を絞められただけだから、さほど重症ではない気がするのだが。


 「もう一度聞きます。ご自身が誰かわかりますか?」

 

 目の前の女性に聞かれた問いかけに頷いた私は、少し眉をひそめた。


 (神官・・・?私と似たような服装?)


 でも顔はベールで覆われていない。一体ここはどこでこの女性は誰なんだ。そんなことを思っていると、分かってくれたのか次の質問をしてくれた。


 「ここがどこだかわかりますか?」

 

 もちろんNOだ。だから首を横に振った。

 

 「そうですか。今までこの棟にはきたことがなかったですよねきっと」

 「・・・・?」

 「ここは神殿内です。エミリアさんは、リクール様に助けられてここに連れてこられました。何があったのかは聞いています。犯人もすでに捕まえてますので安心してください」


 畳み掛けるように情報を一気に流し込んできた彼女は、親切なのか不親切なのかよく分からない。イライラしてるようにも聞こえるが、とりあえず彼女が出した名前「リクール様」とは誰のことか私にはさっぱり分からなかった。


 「あぁ、それと自己紹介が遅れました。私はこの病棟の主任をしているカイリーというものです。もうすぐしたら副長官か来られますのでそれまでは寝たままでお願いします。あと、首に包帯を巻いてるので取らないでください」


 無駄に頭を下げてきたこの女性は、言い終わったあと忙しなく動き出した。

 身体を動かしてはダメと言われても、動ける気がしない。首を絞められた時に何か神経をやられたのだろうか。不安になって、試しに腕をこれでもかというほどに力を入れて動かしてみようとした時、カイリーと名乗る女性が、私と話していたときとは違う声のトーンで「まぁ副長官、速かったのですね。エミリア様ならたった今目を覚ましましたよ」とゆっくりめに言ったのが聞こえた。


 「あぁ、御苦労。君はもう行っていいよ」

 「はい。それでは」


 (パーシー副長官・・・)


 対照的な2人のやり取りに、副長官の声を聞いて何故か安心した私。

 特別な感情は抱いてないが、やはり知らない場所だと知っている人物に会おうものなら異常に安心してしまう。


 「やぁ、エミリアさん。酷い目にあったね」

 「・・・・」

 「まさかこんなことになるなんて・・・ここまでやってくるのか」

 「・・・?」


 パーシー副長官の背丈がいきなり縮んだと思ったけど、ベッドの脇にイスがどうやら置いてあるらしく、すぐに腰を掛けていた。そして私の様子を伺ってすぐ目を逸らした後あごに手を当て何かを考え込んでいる様子の副長官。

 彼の言葉の綾の解釈の仕方を私は知らないけれど、明らかにおかしな文法の文章があったため頭にハテナが浮かんだ。


 「あぁ、すまない。独り言だ。そして僕がここに来たのは、エミリアさん、貴方に明日からのことを伝えるためです」

 「――――――っ・・・」


 (あれ?)


 副長官から言われた言葉を、疑問文にしてそっくりそのまま返そうとして口を開けた瞬間、妙な違和感に気が付いて動きを止めた。


 (・・・?)


 「どうかしましたか?」

 「・・・」

 

 何回も口をパクパク開いては、喉の奥からいつものように喋ろうとした私。それでも何故か肝心の声が出てこないことに気が付いた。


 なんで?


 「っ・・・・」

 「もしかして」


 そしてその様子を見ていた副長官は、目を大きくして眉をひそめた。


 「声が出なくなったのですか?」 


 


 



 

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