表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

大学合宿編:タケル、悲劇の混浴インシデント

ゼミ合宿。

海近くの温泉旅館。


タケル

「絶対今年は平和に過ごす……!」


男子連合

「タケルと同じ部屋だぞ!」

「一緒に寝ような!!」

「枕投げするか?」


タケル

「鼻息荒いぞお前ら!!」


さくらは、そばで微笑んでいた。


さくら

(……タケルくんと同じ旅館……幸せ……)


タケル

「なんか怖いんだけどさくらの笑顔……」



夜。

男子連合はテンションMAX。


筋肉系

「温泉! タケルと温泉!」

文学系

「タケルくんの入浴…詩を書こう」

工学部

「体温のデータを――」


タケル

「全部やめろお前ら!!」


男子連合はタオルでタケルを連行しようとする。


タケル

「俺は1人で入るの!! お前らは来るな!!」


男子連合

「タケルに“1人”は危険……」


タケル

「俺は三歳児か!!?」



タケルは男子連合を振り切り、

別棟の小さな温泉へ逃げ込む。


タケル

「やっと静かに入れる……」


そこでタケルは見た。


立て札:


『本日、男湯・女湯 入れ替え制』


タケル

「へぇ……そうなんだ――」


小さい文字で書かれた但し書きは読んでいなかった。


『※21:00からは女湯になります』


タケルが入ったのは21:01。



温泉は広く、湯気も多く、

タケルはすっかりリラックスしていた。


タケル

「は~~……今日だけは平和……」


その時、浴場入り口から

女性の声が聞こえてくる。


「わぁ、広い……!」

「気持ちよさそう~!」


タケル

「(……え)」


湯気の中から次々に女子たちの影。

ゼミの女子メンバーが笑いながら入ってくる。


そして――


さくらが来た。


さくら

「タケルくん、もう入ったかな~って……あれ?」


タケル

(終わったぁーーーーーーーーーーーー!!)



タケルは湯船の端で震えていた。


タケル

(どうする!? どうする俺!!

 動くな。動いたら終わりだ)


しかし女子たちは気づかない。

湯気で顔がよく見えない。


女子A

「タケルくん、男湯行ったのかな?」

女子B

「こっち来てたら面白いのにね(笑)」


タケル

(笑い事じゃねぇぇぇぇ!!)


そして運命の瞬間。


さくらがタケルのいる湯に入ってきた。


距離:

60センチ。


タケル

(近い!! めっちゃ近い!!!

 頼む気づかないで!!!)


しかし湯気の少し切れた瞬間、

さくらの目がちょっとだけ大きくなった。


さくら

(……え?)



さくら

「……タケルくん?」


タケル

「違う違う違う違う待って!!

話を聞いて!!!」


女子たち

「……タケル……?」

「本物?」

「なんで??」


タケル

「誤解!! 完全に誤解!!

 俺はただ平和に入りたかっただけで!!

 決してやましい気持ちは!!」


女子一同

「「「どーーーーでもいい!!!」」」


タケル

「ぎゃああああああああ!!」


さくらは真っ赤な顔でタケルの手を掴む。


さくら

「た、タケルくん! 出よ!! 今すぐ!!」


タケル

「引っ張るなーー!! お湯で滑るっ!!」


滑った。


転んだ。


さくらとタケル、湯の中で派手に倒れる。


女子たち

「キャーーーー!!!」


タケル

「俺の人生ぃぃぃ!!」



その頃、男子連合は豪華な男湯で騒いでいた。


スポーツ系

「タケル遅いな!」

筋肉系

「温泉で溺れてないか?」

工学部

「追跡デバイスつけとけば――」

文学系

「タケル……はよ来い……」


そして彼らは気づく。


タケルが入った小浴場は21時から女湯。


男子連合

「タケルが……?」

「混浴に……?」

「やべぇ……」

「……行くぞ。」


彼らは浴衣のまま全力ダッシュした。



女子浴場の前。


女子たち

「タケル連れ出した!!!」

「先生呼んで!!」

「最低!!」


タケル

「違うんだあああああ!!!」


さくら

「待って! タケルくん本当に違うの!!」


そこへ男子連合が乱入。


男子連合

「タケルーーーーー!!!!」

「大丈夫かタケル!!」

「無事か!? 裸か!?(当たり前)」

「守るぞ!!」


タケル

「守るなぁぁぁぁ!!!」


女子全員

「お前らも帰れぇぇぇ!!!」



翌日。

旅館のロビーで全員集合。


先生

「タケルくん。説明。」


タケル

「……すみませんでした……」


男子連合

「タケルは悪くない!!」

「悪いのはシステム!!」

「立て札の文字が小さい!!」


先生

「お前らも黙れ。」


さくらは隣で小声で言った。


さくら

「……タケルくん。

本当に大変だったね。」


タケル

「いや……ほんとに……死んだかと思った……」


さくら

「でも……

私、タケルくんが必死に隠れてたの、

なんか……可愛くて……」


タケル

「この女~~!!(照)」


男子連合

「タケル、今日も可愛い!!」


タケル

「黙れぇぇぇぇぇぇ!!!!」


こうして合宿は――


史上最悪の混浴大惨事

として語り継がれることとなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ