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タケル家ホームパーティ大惨事

タケルのスマホが鳴った。

画面には母からのメッセージ。


『今度の土曜、彼女ちゃん連れてきてね♡』


タケル

「連れてきてね♡じゃねぇ!!」


さくら

「えっ……行くよ? 喜んで。」


タケル

「さくらは優しい!! でも問題は!!」


その瞬間、背後から声が。


男子連合

「聞いたぞタケル……」

「実家に……俺たちも行くからな。」

「お前を1人で行かせられると思うか?」

「危険だ。」


タケル

「お前らの存在が危険なんだよ!!!!」


しかし男子連合は固い。


筋肉系

「付き添いは義務。」

文学系

「タケルを渡り歩く人生、支えるのが我々。」

工学部

「家族に変な印象を与えないよう監視する。」

商学部

「つまり我々も行く。」


タケル

「意味がわからない!!」


さくら(小声)

(でも……タケルくんは、この人たちにすごく愛されてるな)



土曜日。

チャイムが鳴る。


タケル母

「は〜い……あら、さくらちゃんいらっしゃ――」


母の表情が変わる。


男子連合(10名)

「「「「お邪魔しまァす!!!」」」」


タケル

「なんで整列してんだよお前ら!!」


「……タケル、これは?」


タケル

「俺が聞きたい。」


男子連合は礼儀だけは完璧だった。

しかし人数が多すぎる。


「まあ……入って……?

(リビング崩壊するかも……)」



タケル父は登場した瞬間、男子連合に囲まれた。


男子連合

「初めましてお父さま!!」

「タケルは本当に素敵です!」

「礼儀正しい育て方を……!」

「愛情が伝わります!!」


「えっ……あっ……は……はい……?」


5分後。


タケル父

「タケル……お前、良い仲間に恵まれたな……!」


タケル

「ちょろいな親父!!」



台所では、さくらが母に料理を手伝っていた。


さくら

「お母さん、この味付けすごく美味しいです……!」


「あら〜嬉しい! タケルは全然作らないからね!」


さくら

「タケルくん、料理苦手なんですか?」


「まず包丁が逆なのよ。」


タケル

「全部聞こえてるから!!」


男子連合

「タケル……包丁逆はヤバい……」

「かわいい……」

「保護案件……」


さくら

(……タケルくん……)



タケル母は頑張って料理を並べた。

しかし男子連合の人数が多く、テーブルがぎゅうぎゅう。


タケル

「俺の家族は3人なんだよ!?

なんで12人いるんだよ!!」


男子連合

「タケルの晴れ舞台だから……」

「見届けなくてどうする」

「俺たちは家族だろ?」


タケル

「家族じゃねーよ!!」


(なんか泣きそうなんだけどタケルが)


食事が始まる。


タケル父

「さくらさん、タケルのどこが良かったんだい?」


タケル

「ちょ、父さん!!」


さくら

「タケルくん……すごく真っ直ぐで、優しくて……

失敗しても、諦めないところが好き、です。」


男子連合(泣く)

「「「タケル……っ!!!!」」」


タケル

「なんでお前らも感動してんだよ!!」


タケル母

(……この子たち、良い子達なんだけど……圧がすごいわね)



食後。


筋肉系

「タケルの部屋……見たい」


文学系

「タケルくんの世界を感じたい」


工学部

「デスク見せてほしい」


タケル

「絶対来んな!!」


しかし男子連合、走る。

さくらも慌てて追う。


タケル

「うわああああ!!」


男子連合がドアを開ける。


そこには――


散らかった漫画、積まれた失敗レポート、

床に転がる“副業失敗マニュアル”本。


男子連合

「タケル……努力家……」

「泣ける……」

「走ってる……毎日……」


さくら

(……可愛い……)


タケル

「何が可愛いんだよぉぉ!!」



夜。

タケル家の空気は温かく、うるさい。


男子連合はタケル父の部屋で将棋大会を始めている。


タケル母はそっとさくらに声をかけた。


「さくらちゃん。」


さくら

「はい?」


「タケルのこと……よろしくね。」


さくら

「……はい。必ず。」


「この子、不器用でバカで……でも本当に優しい子だから。」


さくら

「……全部、知ってます。」


母は静かに微笑んだ。



帰る時間。


しかし男子連合は――


筋肉

「泊まっていい?」

文学

「タケルくんの成長を見守りたい」

工学

「今日はデータ不足」

スポーツ

「寝具は床でいい」


タケル

「帰れぇぇぇぇ!!!!」


「まあまあ、若いんだし泊まって……」


タケル

「親父まで何言ってんだよ!!」


さくらは笑って言った。


「タケルくん。

今日……すごく楽しかったよ。」


タケル

「……俺は疲れた。」


さくら

「でも、君の周りって……

本当に温かいね。」


タケル

「うるさい……!」


しかし耳まで赤い。


男子連合

「タケルかわいい!!!」

「最高!!」

「やっぱり帰らない!!!」


タケル

「帰らないなら追い出す!!!!」


今日もタケルの人生は、

優しさとカオスに包まれていた。

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