男子限定・タケル推し会議
場所は大学の空き教室。
何やら怪しい男たちが集まっていた。
黒板には大きく書かれている。
『狛江タケルを語る会』
タケル本人だけ招待されていない。
部長(筋肉系)
「静粛に! 今日の議題は、“タケルの魅力とは何か”だ。」
メンバーA(文学系)
「タケルくんは…儚さがいいよね。」
筋肉系
「儚さ……?」
文学系
「階段でも廊下でも、どこでも転ぶでしょ?
あの一瞬の“あっ”という顔…あれが芸術だ。」
メンバーたち
「わかる……!」「あれは可愛い……!」
タケル不在のまま、会議は盛り上がる。
メンバーB(スポーツ系)
「俺はあれだな。タケルが何か挑戦する時の“やるぞ…やるぞ…”って顔。」
メンバーC(工学部)
「でも絶対失敗するよね。」
一同
「そこがいい!!!!」
スポーツ系
「俺、あいつがバイトでスピーカー抱えて走ってるの見てさ。
涙出るほど笑ったけど……同時に惚れたんだよな。」
工学部
「俺もだ。パンダの着ぐるみで子どもに追われてた時、
“守りたい”って思った。」
一同
「わかる……!」
次第に空気が異様な熱量を帯びていく。
メンバーD(商学部)
「タケルってさ、優しいよな。」
筋肉系
「そうだな。」
商学部
「俺がプリント落とした時、拾ってくれたんだよ。
その瞬間、風でタケルのプリント全部飛んだけど。」
文学系
「それを自分で追いかけてさらに転んだよね。」
スポーツ系
「タケルは自分が損する方向に行く天才だからな。
そこが…いい。」
工学部
「俺、タケルに勉強教えてもらったことある…
教えてる最中に本人が混乱して泣いてた。」
一同
「そこがいい!!!!」
タケルの優しさはなぜか全員の心に刺さっていた。
議長が黒板に書いた。
『タケル → 女子にモテたい』
一同
「………………」
筋肉系が拳を握りしめて叫ぶ。
「なぜだ!!!!!」
文学系
「タケルは人間だ……好みがあって当然だ……
だが辛い……!」
スポーツ系
「さくらちゃんにデート誘われた時のタケルの顔、
あれ…俺たち全員、心が砕けたよな……?」
工学部
「“タケル幸せになってほしい”と
“でも俺じゃダメなのか”が同時に来て死ぬかと思った。」
商学部
「つらい……だが応援したい……この葛藤……!」
男子たちは机に突っ伏して苦しんでいる。
まさに地獄の合唱団。
議長(筋肉系)は静かに言った。
「……我々は、タケルが好きだ。」
文学系
「うん。」
工学部
「うん。」
スポーツ系
「どのタケルも、タケルだから好きだ。」
商学部
「失敗しても、転んでも、噛んでも、泣いても……
そこがタケルなんだ。」
そして議長は黒板に大きく書いた。
『タケルはタケルでいい』
一同
「おおおおお!!!!」
会議室の熱気は異常なほど高まる。
ガラッ。
タケル「……なにしてんだお前ら。」
一同
「タケル!!!!!!!!!!!!!!」
タケル「やめろおおお近づくな!!
なんだこの空気!?!?こわい!!」
男子たち全員が涙を流しながら抱きついてくる。
「タケル好きだ!!」
「タケル最高!!」
「タケルの笑顔で飯が食える!!」
タケル「やめてくれえええええ!!!
俺は女の子にモテたいんだぁぁぁぁ!!」
彼の叫びは空き教室に虚しく響いた。




