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隔離地域の章:村松幸多と早川流美

 昼下がり下校時の吉祥寺。学生や社会人が賑わいを見せ、駅から商店街に至るまで学生や老若男女問わず、活気に溢れている。雑貨や飲食、流行を感じさせる街並みは近隣の学生達にとって放課後の憩いの場だ。

 平穏な日常を横目に村松幸多は待ち合わせをしていた。

 所属するサッカー部は夏に引退し、これから高校の受験勉強に身を入れようかと重い腰を上げ始めた。日頃から授業は真面目に聞いていたので志望校は問題なくA判定だ。その判定模試のお祝いも兼ねて幼馴染の早川流美と息抜きに来た、という訳だ。

 幼馴染ではあるが幸多は流美に好意を寄せていた。今日のデートと呼んで差し支えない状況、最も流美は思っていないかもしれないが。受験も控えてる状況から、この想いは合格してから、と固く決意をしている。

 しかし幸多も思春期の年頃の男の子である。待ち合わせ中だが表情が綻んでいる。人から見れば完全に浮かれているのは間違いないだろう。ただ、待ち合わせにニヤニヤしながら待ってるのは傍から見れば変な人に違いない。頬を叩き、気合を入れ直していると

 「何やってるの?」

 そこには制服姿が眩しい幼馴染の姿があった。

 お嬢様学校に通ってるだけあり、長く艶やかな髪に上品なセーラー服から伸びるスラリとした四肢にハッキリとした顔立ちが幸多をドキリとさせる。

 「ゃっ、な、なんでも無い!」

 変な声が出てしまい、咄嗟に取り繕う。危なかった。危うく惚れてしまいそうだ。ってもう惚れてるやないかーい。と寒いツッコミがよぎる。軽く平静を取り戻した所で流美に向き直る。

 「今日は何処に行く?本屋から行くか?」

 流美はそうだなぁ、と少し考えると 

 「うん、参考書も欲しいし駅ナカの本屋さん少し見たいかな。」

 「それじゃ決まりだな」

 笑って返事をすると流美もクスリと笑い、歩き出そうとした時。

 「ぁぁあ…あぁ…ぅう」

 隣を歩いていた女性が急に膝をつき、頭を押さえ始めた。それを皮切りに周囲の人たちが何人か同じような状態で呻き声を上げる。

 「だ、大丈夫ですか!?」

 流美と共に、隣の女性に駆け寄るも自分達ではどうしようもないのは明白だ。

 「幸多、救急車!」

 流美の声とほぼ同時に携帯を取り出し、緊急通報をかける。流美が女性に声かけをしているのを横目に通話が始まった瞬間。

 ———幸多の目に映ったのは強烈な光だった。

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