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金色がかった茶色の髪に、少し垂れ気味の紫の目をした国王様と、長い黒髪のつり目がちな青い目をした王妃様。
お二人とも、どことなく固い表情をしているように見える。
私は緊張で息を呑んだ。
しかし厳しい顔をしていた王妃様は、ラウロ様に目を留めると途端ににこやかな表情になって、彼の元へ駆け寄って来た。
「まぁ、ラウロ! 本当に呪いが解けたのね! 随分男前になったじゃない。少し背も伸びたんじゃない? ああ、本当に久しぶりだわ」
王妃様は嬉しそうにそう言って、ラウロ様の手を両手で掴む。
王妃様の態度が想像していたのとは違い随分親しげなので、驚いてしまった。
聞いていた話からもっと殺伐とした関係を想像していたので、思っていたよりもずっと好意的な王妃様の態度にほっと胸を撫で下ろす。
しかし、ラウロ様の表情は固いままだった。
「お久しぶりです。王妃様」
「まぁ、王妃様だなんて。そんな他人行儀な呼び方は寂しいわ。昔のようにお母様と呼んでちょうだい。ここは改まった場でもないのだし」
王妃様は眉尻を下げ、悲しそうな声で言う。ラウロ様は王妃様の言葉を聞き、困ったように笑っていた。
それから、二人のやり取りを黙って見ていた国王様が口を開く。
「ラウロ、よく来てくれた。突然呼び出してすまなかったな。そちらが呪いを解いてくれたというジュスティーナ嬢か。二人ともどうぞかけてくれ」
陛下はラウロ様と私を交互に見て、柔らかい口調で言う。
私は慌てて頭を下げて挨拶し、言われた通り席についた。
にこやかな表情でこちらを見る国王陛下と王妃様と向かい合う。緊張は抜けないものの、思っていたよりもずっと柔らかいお二人の態度に安心もしていた。
その後も、面会は終始和やかに進んだ。
国王様と王妃様は、ラウロ様に今までの暮らしや学園でのことを興味深げに尋ねている。呪いが解けたときのことに話が及ぶと、私も色々と質問された。
一通り質問が終わると、国王様は真剣な顔でラウロ様を見た。
「ラウロ、今まで不自由な思いをさせてすまなかった。私たちもお前を王宮から出すのは心苦しかったが、国民の信頼を維持するためには仕方なかったんだ」
国王様の言葉に続けて、王妃様も悲しげに言う。
「あなたには申し訳ないことをしたわ。ずっと後悔していたの」
お二人の声は震えていて、とてもつらそうに響いた。
きっとお二人とも、ラウロ様の存在を今まで隠してきたことを悔やんでいるのだろう。
必要に迫られて仕方なくの決断だったのだ。
そう思うけれど、心のどこかにはそんな二人をしらじらしく思う気持ちがあった。
国王様と王妃様に対して不敬なことを考えてはいけないと、慌てて浮かんできた考えを打ち消す。




