13-11
結局、その後は二曲目も、その次の曲も、ずっとラウロ様と踊っていた。
三曲目を踊り終えた後、少し疲れてふらついてしまうと、ラウロ様がバルコニーに行って休憩しないかと言ってくれた。
その言葉に甘えて、ひとまず会場を出ることにする。
広いバルコニーに出ると、ほかには誰もいなかった。
夜風が頬に当たって気持ちいい。バルコニーの外に広がる王都の景色がとても綺麗だった。
私が景色に見惚れていると、ラウロ様に少し申し訳なさそうな声で言われた。
「ジュスティーナ嬢、今日はありがとう。なんだかずっと君を独り占めにしてしまったな」
「いいえ、私もラウロ様と踊っていたかったのでよかったですわ」
笑顔で言うと、ラウロ様の表情が緩む。
それからラウロ様は会場にちらりと目を遣った後で言った。
「それにしても、ルドヴィク殿とフェリーチェ嬢はどうなったんだろうな。会場には姿が見えなかったが」
「どうしたのでしょうね。あのまま仲良くパーティーに参加するような雰囲気でもありませんでしたし、帰ってしまったのかもしれませんわ」
私が言うと、ラウロ様は真面目な顔をしてうなずく。
「しかしルドヴィク殿も勝手な男だな。君に散々な扱いをしておいて、今度は妾になれなどと」
「本当ですわ! ルドヴィク様はきっと今でも私のことを舐めているのです。私、今後は平民になって、ローレ領から離れた土地に行って、農地か何かで働かせてもらおうと考えているんですの。妾になんて絶対なりたくありませんわ!」
「え」
ルドヴィク様の言葉を思い出して憤りながら言うと、ラウロ様に驚いた顔で見られた。
ラウロ様は呆気に取られているように見えたので、私はおかしなことを言ってしまったかと首を傾げる。
「ええっと、甘いでしょうか……? 私の光魔法は中途半端ですが、農地でなら少しくらいは役に立つのではないかと思って……」
「いや、当然役立つと思う。しかし、本当に平民になるつもりなのか?」
「ええ、だって今さらローレの家に帰りたくありませんもの。そもそも家に入れてくれないかもしれませんし。仮に戻っても、契約石を壊して婚約破棄した娘なんて、将来どこの家ももらってくれないでしょうから、生家で持て余されることになるはずですわ」
私はもうローレの家に戻りたくなかった。
私がどんなにルドヴィク様との関係に悩んでいてもただ彼の機嫌を損ねるなと言いつけるばかりだった両親の顔を思い出す。
二人が関心を向けるのはいつもフェリーチェのことばかりで、私の心情なんてちっとも考えてはくれなかった。
私の特技といえば植物を元気にすることくらいだけれど、いくつも農場を回れば一か所くらい雇ってくれるところがある気がする。
どこか住み込みで雇ってくれるところを見つけたら、憂鬱だけれど一度家に帰って、そこですっぱり縁を切ってしまうつもりでいた。
「しかし、そこまでしなくても……貴族籍を抜けることはないんじゃないか?」
「いえ、私はもうローレ家とは決別して、自由になりたいのです!」
私は勢い込んで言う。
しかし勢い込んで宣言したものの、まだ具体的には何も進めていない現在の状況を思い出し、少し声のトーンを落として続けた。




