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一歩ホールに足を踏み入れると、入口にはすでにたくさんの生徒たちが集まっていた。
楽しそうに談笑していた彼らは、私たちに気づくと途端にざわめき出す。誰も彼も目を見開いてぽかんと口を開け、惚けたような顔でこちらを見ていた。
私はちらりと横目でラウロ様を見る。
周りがざわめくのも無理はない。宮廷服に身を包んだラウロ様は、絵画の中から飛び出てきたように美しかったから。
一度目のパーティーの時も私たちが歩くと大分注目されたけれど、その時とは視線の種類が大分異なっていた。
廊下の端では、女の子たちの集団がラウロ様を見てきゃあきゃあ騒いでいるのが見える。
私が複雑な気持ちでそちらを見ていると、ラウロ様が感心したような声で言った。
「みんなこちらを見ているな。やはり、ジュスティーナ嬢は誰が見ても目を奪われるほど美しいらしい」
予想外の言葉に、私は周りの生徒たち以上にぽかんとした顔をしてしまった。
戸惑いつつも言葉を返す。
「いえ、あの、みんなラウロ様を見ているのだと思いますよ……?」
「そうだろうか? 確かに、今日は普段会わない生徒も多いから、俺の痣がなくなったことに驚いている者もいるかもしれないな。けれど、やはり大部分はジュスティーナ嬢の美しさに見惚れているのだと思う」
ラウロ様はなぜだか得意そうな顔で言った。
絶対に違うと思うけれど、ラウロ様の中には自分がそこまで騒がれる存在だという発想がないらしい。
これはいいことなのだろうか、悪いことなのだろうか。
私は困惑しながらも、ラウロ様と会場に向かって歩いた。
会場に入ってからも、周りからの視線とざわめきは消えなかった。
時折、ご令嬢たちが顔を赤らめてラウロ様に話しかけてくるけれど、ラウロ様は真面目な顔で彼女たちの言葉に返事をした後、すぐに私の方に視線を戻す。
ラウロ様のそんな様子を見て、ご令嬢たちは悔しげな顔で私を睨んだり、なぜだかうっとりした顔でラウロ様と私を交互に見つめたりした。
前者の気持ちはまだ理解できるけれど、後者の反応の意味は全くわからなかった。
騒がしさに戸惑っていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「やぁ、久しぶり。君たち、前回のパーティーで会った子たちだよね?」
振り向くとそこには、にこやかに片手を上げるコルラード殿下が立っていた。
パーティーで会ったも何も、コルラード殿下はラウロ様の兄君のはずだ。けれど、公には伏せられているからか、彼はしらじらしい態度で近づいてくる。




