13-1
あっという間に時は過ぎて、二回目のダンスパーティーの日がやって来た。
今回の会場は学園ではなく王都のホールなので、前回よりも早い時間に会場に向かうことになった。
私はいつもの通りラウロ様の家の馬車に乗せてもらい、彼と向かい合って座る。
「ジュスティーナ嬢、そのドレス本当によく似合っているよ。まるで女神のようだ」
「め、女神……」
ラウロ様はうっとりした顔でこちらを見ながら言う。元から大袈裟だった褒め言葉が、日毎に過剰になっていくように思うのは気のせいだろうか。
今日の私は、先日王都のお店でラウロ様に買ってもらった青いドレスを着ていた。
鮮やかな青色の、スカート部分がふんわりとふくらんだドレス。腰には青い薔薇とリボンがついている。
見惚れてしまうほど美しいドレスだけれど、その分私が着ていいものかと気後れしてしまう。
なのに、ラウロ様も、エルダさんや他の使用人さんたちも、鏡を見て戸惑う私を何度も褒めてくれた。
「オーダーメイドにする時間がないのは残念だったが、そのドレスで正解だったな」
ラウロ様はこちらを見て目を細めた。
その声に偽りなんて全く感じられない。彼の目には、自惚れかもしれないけれど、愛情がこもっているような気がした。
青いドレスを着た私を幸せそうに見つめるラウロ様を見ていたら、素直に喜んでもいいのではないかという思いが湧いて来た。
私はいつもフェリーチェと自分を比べて卑下してしまっていたけれど、ラウロ様がせっかくこんなに似合うと言ってくれているのだもの。
その言葉を受け取らない方が失礼な気がする。
「……ありがとうございます。嬉しいですわ。私もこのドレス、とても好きです」
少し躊躇いつつもそう言ったら、途端にラウロ様の顔が綻んだ。
やがて、馬車はホールの前に到着した。先に馬車から降りたラウロ様が、手を差し伸べてくれる。
「行こうか、ジュスティーナ嬢」
「はい」
どきどきしながら差し伸べられた手に自分の手を重ねる。
なんだか夢みたいな気分だった。
ついこの前まで、私はルドヴィク様に疎まれて、家族からも愛されなくて、寂しい思いばかりしていたのに。
今は当たり前みたいにラウロ様が隣にいてくれる。彼の綺麗な青い目に自分を映してもらえることが、とても嬉しい。
そんなことを考えていたら、いつの間にか頬が緩んでいた。
私は幸せな気持ちのままラウロ様に手を引かれ、パーティー会場まで足を踏み出した。




