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「ラウロ様はラルミアの町に行ったことありますか?」
「何度かある。ロジータ妃の生家を始め、彼女の生活圏内だったであろう場所は大体回ってみたが、有力な情報は得られなかった。ラルミアに住む闇魔法が使える者にも何人か会ってみたが、誰からも大きな収穫は得られなかった」
「そうなのですか……」
そこまで調べても有力な情報が得られていないのなら、呪いを解く手がかりを探すのは想像以上に難しそうだ。
「ラウロ様、今度私もラルミアの町へご一緒してもいいですか? 私もその町について調べてみたいですわ」
「来てくれるのか? 君が一緒に来てくれるなら心強いな」
尋ねると、ラウロ様はぱっと嬉しそうな顔になる。
そういうわけで、私たちは後日ラルミアの町へ行って、改めてロジータ妃や彼女の周辺のことを調べてみることになった。
何か呪いを解く手がかりが見つかったら嬉しい。けれど、期待する気持ちと同時に、すでに十分調べたらしい町へ行っても、新しい発見はないかもしれないという気持ちもあった。
すぐにでもラウロ様の呪いを解いて、抱えている葛藤から解放してあげたい。けれど、それには長い時間がかかるのかもしれない。
そう考えると悲しくなったが、ラウロ様本人が落ち込んでいる様子を見せないのに私がへこむのは違うと思い、出来る限りの笑顔で言った。
「ラウロ様、絶対に呪いを解きましょうね! ラルミアで何かヒントが見つかったらいいですね!」
「ああ、ありがとう。ジュスティーナ嬢」
ラウロ様はこちらを見て柔らかく微笑んで言った。
そう張りきってはみたものの、実際にラルミアに行かれるのは、次の休暇が来てからだ。
一刻も早く手がかりを探したくて、学園を休んで行ってみないかと提案してみたけれど、「俺の事情でジュスティーナ嬢に学園を休ませるわけにはいかないから」と断られてしまった。
私は別に構わなかったのだけれど、ラウロ様がそう言うならとうなずいておいた。
次の休暇となると、数週間は先になる。
それまではラルミア以外のことを調べておいた方がいいだろう。
何か呪いを解く手がかりになるものはないかと考え、ふと頭に先ほど書庫で見た、蔦に巻き付かれた黒い短剣が思い浮かぶ。
「ラウロ様、一つお聞きしたいことが」
「なんだ?」
「さっき間違えて書庫に入ってしまったとき、蔦の巻き付いた黒い短剣を見つけたんです。勝手に見てしまってすみません……。あれって、ラウロ様のものですよね?」
「あの短剣か……。ああ、俺のもので間違いない」
ラウロ様は遠い目になると、少し複雑そうな顔で言った。




