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「ロジータ妃が俺に呪いをかけたことはすぐに発覚して、彼女は表向きは病死ということにして処刑された。
しかし、王家がその後で扱いに困ったのが俺だった。なんせ顔にこんなにはっきりと痣を刻まれているのだからな。呪われた王子などとても表には出せない。呪いをかけたのが陛下自身が選んだ妃なのだからなおさらだ。俺の存在はいないほうが都合が良かった」
淡々と話していたラウロ様の顔に少しだけ影が落ちる。
そこまで聞いてやっと、ロジータ妃が闇魔法を得意としていたことが伏せられていた理由を理解した。
きっとそれは王家にとって隠しておかなければならない情報だったのだ。……ラウロ様自身の存在と同じように。
「そういう事情で俺は公には死んだことになり、王妃様……母上の生家が所有しているこの屋敷で隠れて暮らすことになった。俺が第三王子だと知る者はわずかしかいない。多分陛下も王妃様も、今では俺の存在を忘れてしまいたいと思ってるだろう」
話し終わったラウロ様は、また平然とした顔に戻っていた。
大したことのないような話しぶり。けれど、ラウロ様が生まれたときから今に至るまでに葛藤がなかったはずがない。
ラウロ様に呪いをかけたというロジータ妃はもちろん、外聞のためにその存在を隠す国王陛下や王妃様にも憤りが募った。
「……そんなの間違ってますわ。死んだことにされるなんておかしいです……!」
「それが一番丸く収まるからな。仕方ないんだ」
思わず声に出してしまった私に、ラウロ様は反対に慰めるかのように言う。その困ったような優しい笑みを見て、余計に悔しさが膨らんだ。
ぎゅっとスカートを握りしめる私に、ラウロ様がぽつりと言う。
「ロジータ妃は植物を操れたんだ」
「え……」
「彼女は植物を介した闇魔法が得意だった。だからジュスティーナ嬢が植物に対する光魔法を使えると聞いたとき、希望を感じたんだ。その魔法が呪いを解く手がかりになるかもしれないと思って」
ラウロ様はそう言って目を伏せる。それからぎこちない口調で続けた。
「その、君の魔法に興味があってうちに呼んだのは確かなんだが、だからと言って君に迷惑をかけるつもりはないし、だからコルラード様が言っていたことは気にしないでもらえたら……」
珍しく歯切れの悪いラウロ様が言いきる前に、私は思わず身を乗り出していた。
「ラウロ様! つまり、私が呪いを解く鍵になるかもしれないと思っておうちに呼んでくださったのですね!?」
「あ、ああ。不快に思ったら申し訳ない。けれど決して利用するつもりでは……いや、これは利用というのだろうか……」
「どうして早く言ってくれないのですか! 私、何でも協力しますわ!!」
気が付いたらラウロ様の手を握りしめて宣言していた。
私の中途半端な魔法が、ラウロ様の助けになるかもしれないなんて、そんな素晴らしいことはない。
ラウロ様は目をぱちくりしている。




