6-12
ようやく曲が終わり、コルラード殿下は私を解放してくれた。一気に疲れが襲ってくる。
急いでラウロ様の元に戻ると、彼ははらはらした表情でこちらを見ていた。
「ラウロ様、急にすみませんでした」
「いや、大丈夫だったか? コルラード様に何か言われなかっただろうか」
ラウロ様は心配そうに私の顔を覗き込む。
「大丈夫です。ただ家のことや魔法のことを少し聞かれただけですから」
「家や魔法のこと……」
私が答えると、ラウロ様は神妙な顔をする。何かを考え込んでいるようだった。
その表情を見て、やはりラウロ様とコルラード殿下は知り合いのような気がした。それも、あまりいいとは言えない関係の。
「すまない、ジュスティーナ嬢。コルラード様が強引なことをして」
「……なぜラウロ様が謝るのですか?」
尋ねると、彼は苦々しい顔になる。私は躊躇いつつも気になっていたことを口にした。
「ラウロ様は……コルラード殿下とお知り合いなのでしょうか」
ラウロ様は一瞬言葉に詰まる。それから迷うような顔をしつつもうなずいた。
「ああ。少し関わりがある。といっても、直接話す機会はほとんどないんだが」
「一体どんな関わりなのですか?」
王子殿下と直接関われる者なんて、学園の中にいても少数だ。一体、どんな関係なのだろう。
そういえば、前にラウロ様は宰相様が後見をしてくれていると話していた。その辺りが関係しているのだろうか。
「すまないが、詳しいことは言えないんだ。でも、本当に大した関係ではないから」
「そう……ですか」
事情が気になって仕方なかったけれど、言えないとはっきり言われてしまっては引き下がるしかない。私は戸惑いつつもうなずいた。
「ジュスティーナ嬢、急に殿下に引っ張って行かれて疲れたよな。少し外にでも出て休まないか」
「はい……。ではお言葉に甘えて」
ラウロ様が笑顔で手を差し伸べてくれるので、私はそっとその手に自分の手を重ねる。
ラウロ様のこちらを気遣うような視線に嘘はないように思えた。
けれど、心の奥にはコルラード様から言われた言葉が残っていて、どうしても消えてくれなかった。




