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「お二人とも大人気ですよね。私の友達にもサヴェリオ殿下のファンがいるんですよ。今日のパーティーでは絶対にサヴェリオ様と踊るのだと意気込んでいましたわ」
私は目を輝かせてサヴェリオ殿下のことを話していたミリアムさんのことを思い浮かべながら言う。
ミリアムさんは第一王子の大ファンで、学園内で彼を見かけるたびに大はしゃぎしている。今夜のパーティーでも殿下と会えるのを楽しみにしていた。
「……ジュスティーナ嬢も、サヴェリオ様やコルラード様と踊りたいのか?」
「え? 私ですか?」
突然そう聞かれ、目をぱちくりしてしまった。私が王子殿下と。考えたこともなかった。
「いいえ、私は特に。お二人とも大変優秀な方だとうかがっておりますし、立ち居振る舞いも立派で尊敬しておりますが、踊っていただきたいとまでは思っていませんわ」
「……そうか」
ラウロ様はじっと私を見つめた後、少しほっとしたような顔で言う。
「その、私はサヴェリオ様やコルラード様より……」
私は二人の王子殿下よりも、ラウロ様と踊りたい。そう言ってしまおうかどうか迷っていると、突然後ろから甲高い声が響いた。
「あらっ、ジュスティーナお姉様? まさかいらっしゃるなんて! 不参加だとばかり思っていたわ!」
「……フェリーチェ」
振り返るとそこには、レモン色のドレスに身を包んだフェリーチェと、ライトグレーのタキシード姿のルドヴィク様がいた。
フェリーチェは作り物めいた笑みを浮かべながらルドヴィク様の腕に手を回している。一方、ルドヴィク様の方は驚いたような戸惑ったような、複雑な表情でこちらを見ていた。
フェリーチェは私の方まで近づいてくると、わざとらしく驚いた顔をして言う。
「隣にいるのは、ラウロ・ヴァレーリ様よね? この前、突然しばらくラウロ様のお屋敷にお世話になるって連絡が来たときも驚いたけれど、一緒にパーティーに参加なさる仲だったなんてびっくりしたわ。ルドヴィク様とはつい先日婚約破棄したばかりだっていうのに! ねぇ、ルドヴィク様?」
フェリーチェが周りもはばからず……というより、周りに聞かせるように大声で言うので、そばにいる生徒たちの視線がどんどん集中してくるのがわかった。
フェリーチェに問いかけられたルドヴィク様はいつもより勢いがなく、ただ曖昧にうなずいている。
「フェリーチェには関係ないでしょう。私がラウロ様に頼んで一緒に参加してもらっただけよ」
「まぁ、関係ないなんてひどいわ! 私はお姉様の妹なのよ? 姉が契約石を壊して一方的に婚約破棄して、その上ろくに日も経たないうちに別の男性を連れてパーティーに参加しているなんて恥ずかしくて。こちらの身にもなって欲しいわ」
フェリーチェは眉根を寄せて困った顔をしながら言う。




