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6-2

「あの、ラウロ様、ずっと思っていたんですが、やけに口が上手いですわよね……? ほかの方も同じように言ってらっしゃるのですか? 随分女性を褒め慣れている様子ですわ」


「いや、全く。褒める機会自体あまりないからな」


「嘘ですわ……! それならそんなにすらすら褒め言葉が出てくるわけありません!」


 私がムキになって言うと、ラウロ様は不思議そうな顔で言う。


「思ったことを口に出しているだけだ。君はいつもとても愛らしい」


「え、あ、え……」


 きっぱり言われて、私は熱くなった頬に両手をあてた。横でエルダさんがくすくす笑う声が聞こえるので、余計に恥ずかしくなる。


「……その、ラウロ様もとても素敵ですわ」


「ありがとう。こんな痣のある顔で正装をしてもと思ったが、ジュスティーナ嬢に恥をかかせるわけにはいかないからな」


 人のことは照れもせず褒めるくせに、自分のこととなるとすぐに謙遜するラウロ様は言う。痣なんて全く気にならないのに。本当にとても素敵なのに。


 しかしラウロ様は私がそう言ってみても、お世辞だと思っているのか小さく笑うだけだった。



***


 そんな風にしてちょっとどたばたしながらも支度を終え、馬車に乗り込んで学園に向かった。


 学園のホールにはすでにたくさんの生徒たちが詰めかけていた。みんな思い思いに着飾って、明るい顔で話している。


「ダンスパーティーとはこんなに賑やかなものなんだな」


 ラウロ様は周りを見渡しながら感心したように言う。


「学園の一大イベントですからね。王族も参加なさるくらいですし」


「……ああ、そうだな。第一王子と第二王子もパーティーにいらっしゃるのだった」


 ラウロ様はちょっと難しい顔になってうなずいた。



 ダンスパーティーには、第一王子のサヴェリオ様と第二王子のコルラード様も参加される。


 お二人ともこの学園の生徒ではあるものの、普段は王族と限られた高位貴族のみを集めた少人数のクラスで過ごされているため、一般の生徒にはなかなか会える機会がないのだ。


 仮に学園内ですれ違うことがあっても、よほど家柄や自身の能力に自信のある生徒でもない限り、遠くから眺めるだけで終わってしまうだろう。


 しかし、今夜はダンスパーティーなので、一般の生徒にも話しかけるチャンスは十分にある。


 みんなパーティーの随分前からどうにかして二人の王子と関われないかと模索していた。


 特に女子生徒の間では、何週間も前からサヴェリオ殿下やコルラード殿下を間近で見たい、ダンスの相手をして欲しいという話で持ち切りだった。

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