表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/108

4-1

 翌朝、私はラウロ様が用意してくれた客室で目を覚ました。


 白い天井とブルーグレーのカーテンが目に入り、一瞬自分がどこにいるのかわからなくなる。


(そうだ、私ルドヴィク様と婚約破棄して……ラウロ様のお屋敷に連れて来てもらったんだ)


 一晩明けてみると、改めて自分のやったことが信じられなくなる。私がルドヴィク様に反抗して、契約石まで壊すなんて。全部夢だったんじゃないかと疑いたくなるくらいだ。


 しかし、目の前の光景はどう見ても私の部屋とは違う見慣れない部屋で、昨日のことは全て現実だったんだと思い知らされる。


 ぼんやりしたまま、のろのろと身支度を済ませた。胸元のリボンをつけ終えたところで、扉を叩く音がする。


「ジュスティーナ様、朝食の準備が出来たのでお迎えに上がりました」


「あっ、はい! ありがとうございます、今行きます」


 どうやらエルダさんが呼びに来てくれたらしい。私は部屋から出て、エルダさんに連れられ食堂へ向かった。



 食堂のテーブルにはすでにラウロ様が腰掛けていた。私が入って来たのに気が付くと、彼は真面目な顔で振り向く。


「おはよう、ジュスティーナ嬢。どうぞかけてくれ」


「おはようございます、ラウロ様。失礼します」


 ラウロ様に促され、彼の向かいの席に腰掛ける。テーブルの上には温かそうなパンやスープ、いい香りのする紅茶が用意してあった。


 部屋には私たちとエルダさんしかおらず、長テーブルのほかの席は空いている。


 部屋はしんと静かだった。



「君のご両親のことだが、昨晩通信機で連絡して、しばらく君をうちで預かると伝えたら快く了承してくれたよ。だから家のことは気にせず好きなだけここにいるといい」


 椅子に腰かけた私に、ラウロ様はあっさりした表情で言った。


 驚いてぽかんと口を開けてしまう。両親が快く了承してくれたとは本当だろうか。


 契約石を壊して婚約破棄したことは当然フェリーチェから伝わっただろうし、その上しばらく帰らないなんて伝えたら、烈火のごとく怒るとばかり思っていたのに。



「あ、あの、ラウロ様……、本当に両親は許してくれたのですか? 父や母はラウロ様に何か失礼なことを言いませんでしたか……?」


「最初は多少怒ってはいらしたが、大切な娘さんを勝手に屋敷に連れて来てしまったのだから当然だ。けれど、ドラーツィオさんの名前を出したらすぐに了承してくれたよ」


 ラウロ様はなんて事のないように言う。


 しかし、ドラーツィオさんとは誰だろう。聞いたことがない。いや、あるにはあるが、それは私とはあまりに遠い方だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

5/6に電子書籍「殺されたくなくて悪役な婚約者を愛でていたら、なぜか溺愛されました」が配信されました!
i852403
⭐️詳細は活動報告へ

ピッコマだと待てば無料で読めるのでぜひ!↓
⭐️ピッコマ
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ