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この学園では、夏になると二回、中等部と高等部合同でのダンスパーティーが行われる。
一回目は学園内のホールで行われる比較的小規模なパーティーで、二回目は王都の中心部にあるホールを貸し切って行う大規模なパーティーだ。
そして、その一回目のパーティーが来週行われるのだ。
休日に行われるもので参加は自由。しかし、普段は関われないような高位貴族の家の生徒と関われたり、運が良ければ王族と顔を合わせたりできることもあり、ほとんどの生徒が参加していた。
何より、婚約者同士で堂々と踊れる機会だということで、浮き立っている生徒も多かった。
俺も本来ならジュスティーナと参加する予定だったが、婚約は破棄されたのでその必要はなくなった。フェリーチェと参加しても問題ないのだ。
陰鬱な顔をしたジュスティーナではなく、愛らしく笑うフェリーチェが隣にいるところを想像すると、面倒だったダンスパーティーが途端に楽しみになってくる。
「ちょうどいいタイミングだったな。フェリーチェ、ぜひ一緒に参加しよう」
「ええ、ルドヴィク様! 待ち遠しいですわね」
フェリーチェは嬉しそうに腕に手を絡めてくる。俺が満足してその様子を眺めていると、楽しげな声でフェリーチェは言った。
「本当に楽しみですわ。ダンスパーティーって王族も参加なさるんでしょう? 第一王子も第二王子もせっかく同じ学園に通っているというのに普段はなかなか会えませんもの。ぜひお近づきになりたいですわ!」
「え? ああ、そうだな」
「でも、第三王子が亡くなっているのは残念ですわ。生まれてすぐに亡くなられたそうですけれど、生きてらしたらルドヴィク様やお姉様と同じ年らしいですから、年齢的にもちょうどよかったのに。私なら絶対気に入られる自信ありましたわ!」
フェリーチェはがっかりしたように言う。
その話しように、なんだか嫌な気持ちが拭えなくなった。
「ちょうどいいって、なんだ? フェリーチェ。王子に気に入られたいのか?」
「あ、いえ! 将来ルドヴィク様と結婚したときに、国の後継者となる方にお会いしておくのは重要だと思いましたの! 人脈は大事ですわ」
「……ああ、そういう意味か」
そうは言ったものの、フェリーチェの口ぶりはどこか言い訳めいていて、どうも納得出来なかった。
頬を赤らめて王子たちについて語るフェリーチェの目が、まるで獲物を狙い定めるかのように鋭く光って見えたのは気のせいだろうか。
けれどその点は深く考えてはいけないような気がして、俺は無理矢理違和感を頭から放り去った。




