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その後、ラウロ様は私を客室に案内してくれた。
客室まで歩く最中、お世話になるのでご両親にも挨拶したいと頼むと、この屋敷には自分と使用人しかいないので大丈夫だと言われた。
なんでもラウロ様は子供の頃からご両親と離れて暮らしているそうで、このお屋敷にいるのはラウロ様と、エルダさんを始めとした数人の使用人だけらしい。
ご両親は健在らしいのに幼い頃から親元を離れてこのお屋敷で生活しているのはなぜなのか気になったけれど、ラウロ様はあまり話したくなさそうなので触れないでおくことにした。
しばらく廊下を歩くと、いくつかの同じ大きさの扉が並ぶ場所があった。ラウロ様はそのうちの一つの扉を開ける。
案内してもらったのは、机とベッドのあるシンプルな部屋だった。床には質の良さそうな青い絨毯が敷かれ、窓の外には先程見た庭の植物が見える。とても素敵な場所だ。
ラウロ様は部屋にあるものは自由に使っていいと言って笑った。
その後も軽食を用意してくれたり、倉庫から私が着られるサイズの服を持ってきてくれたりと、ラウロ様は何かと世話を焼いてくれた。
さらには私の両親に連絡までしてくれるという。さすがに両親への連絡は自分でやるべきだと思いラウロ様にもそう言ったが、自分が連絡した方が都合がいいと断られてしまった。
何から何までお世話になり、恐縮してしまう。
「本当にありがとうございます、ラウロ様。ここまでしていただいて申し訳ないです」
「いいや、気にしなくていい。困っているときはお互い様だ」
ラウロ様は当然のことのようにそう言った。
そう言ってもらっても、なんだか落ち着かない。今日会ったばかりの人に、ここまでしてもらっていいものだろうか。
ラウロ様は戸惑う私の様子に気づいたのか、こちらをじっと見てから少し迷うように言った。
「ジュスティーナ嬢。本当に遠慮しなくて構わないが、もし何か返したいと思ってくれるなら今から温室で光魔法を使ってみてはもらえないだろうか」
「温室で?」
「今日は疲れているだろうから、無理にとは言わないが」
ラウロ様はそう言いつつも、どこかそわそわしている様子だった。まるで一刻も早く魔法を見たいというように。
ここまでお世話になったのだ。何かできることがあるなら、ぜひやらせてもらいたい。それに正直に言うと温室がどんな場所なのか気になっていた。
断る理由は何もないので、私は迷わずうなずいた。
「ぜひやらせていただきたいです! 今から温室に行きましょう」
私がそう言うと、ラウロ様の目が途端に輝いた。
***
その後、ラウロ様に連れられ早速温室へ向かった。
温室は想像していた以上に素晴らしい場所だった。
一面に珍しい植物がたくさん植わっている。夕方にラウロ様が言っていた通り、図鑑でしか見たことのない外国の花もたくさんあった。
「まぁ、なんて素敵なところ……!」
うっとり呟くと、ラウロ様は少し得意そうな顔になる。




