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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第四章 オリジナルダンジョン

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攻略パーティー 3

今回やって来た有力パーティーは、魔国デリライトのピアース王子のパーティーだった。パーティーメンバーはピアース王子以外は全員が女性で、オーガ族の大柄な女戦士、魔族の女魔法剣士、魔族の女神官、ダークエルフの女弓使いの構成なのだが、4人は恋する乙女のような目でピアース王子を見ている。

ダクネスは言う。


「ハーレムパーティーってやつッスね」


パーティー構成については疑問が残るが、戦力としてはバランスが取れて申し分なかった。オーガ族の大柄な女戦士が前衛で、ダークエルフの女弓使いと女神官が後衛、戦況により女魔法剣士とピアース王子がサポートに入っている。

特にピアース王子の実力は群を抜いていた。ノーザニア王国のマーラ王妃と同じ魔法槍使い(マジックランサー)で三叉槍を装備して、物理攻撃も魔法攻撃も器用にこなしている。指示も的確だった。ダンジョンの難易度を通常に戻していたので、3つのエリアはすぐに攻略された。


骸骨騎士様ロンメルさんは言う。


「実力はかなりあるが、我は好かん。チャラチャラしおって、戦いを舐めておる。魔族とはいえ、奴は王族であろう?魔国デリライトの将来は暗いな」


実力は認めているが、骸骨騎士様ロンメルさんの評価は低いようだ。


「それじゃあ、予定通りボスはサボテンゴールドッス!!」


ダクネスがダンジョンボスを出現させた。サボテンゴールドはサボテンの魔物にゴールドでコーティングしたもので、ニールさんと共同開発した魔道具のデータ収集のために作成した。トゲを飛ばしたり、触手を伸ばして攻撃する。それに植物系魔物の弱点である火属性の攻撃をゴールドコーティングで耐性を高めている。


序盤はやはり、慎重に戦っていた。オーガ族の大柄な女戦士が攻撃を受け止めながら、後衛のダークエルフの弓使いが後方から弓矢で牽制する。しばらくは、そんな展開が続いた。

サボテンゴールドはそこまで強力な魔物ではない。それが分かったらしく、ピアース王子が攻勢に出る。見事な槍捌きでサボテンゴールドを追い詰め、串刺しにした。

件のハーレムパーティーは見事ダンジョン攻略に成功した。


ヘンリーさんは言う。


「ロンメル殿の仰るとおり、僕自身もパーティーの人間関係に少し不安を感じています。リバイネ様の救出作戦に組み入れるかどうかは、入念に調査してからにしましょう」




ということで、私とヘンリーさんは件のハーレムパーティーの調査を行うことになった。


まず、ピアース王子だが、アルテミス王女の弟で姉のアルテミス王女がエルフの特徴を有しているダークエルフなのに対して、ピアース王子は魔族の特徴を有している。これは魔国デリライトのディアス王太子とハーフエルフのアグエラ王太子妃の血を受け継いでいることに由来する。王族としてもしっかりと教育を受けていたみたいで、文武両道の好青年だ。

かなりのイケメンで、女性ファンも多く、一部の狂信的なファンが過激行動に出ることも多々あるそうだ。

問題があるとすれば、本人が自分の魅力に無自覚なところだろう。私もファンを装ってピアース王子に近付いたが、優しい言葉を掛けてくれた。ヘンリーさんがいなければ、私も彼のハーレムに加わっていたかもしれない。


ニューポートを訪れた経緯だが、魔国デリライトでは、王族や貴族の子女は、一人旅に出るという風習がある。長命種ならではの風習だ。今回の旅もその一環で、人族領に入る前に勇者を訪ねたようだった。


パーティーメンバーについても調査を行う。


オーガ族の大柄な女戦士は意外にも魔国デリライトの侯爵令嬢だった。ピアース王子のパーティーに加わったのは、落とした棍棒をピアース王子が拾ったことがきっかけらしい。「ハンカチをワザと落として、意中の殿方に拾ってもらう」何ていう古典的な手口はあるが、その棍棒バージョンだろうか?やり口が強引だ。

戦い方も力任せに棍棒を振り回すスタイルだ。クワトロメイズのアーティストで同じオーガ族のオーウェンさんの戦い方に似ている。ただ、パーティー加入後は特注の大型の楯を持ち、壁役も務めている。愛するピアース王子を守るためのようだ。


魔族の女魔法剣士は子爵家の令嬢らしい。元々従者でそれなりに戦闘もできることからピアース王子の旅に従者として着いてきていた。パーティーメンバーの中では一番実力は劣るが、斥候スカウト、料理や資金管理、宿の手配など生活面全般を取り仕切っている。本人は「家格の問題もありますので、できれば第二婦人、無理ならば側室に」と語っていたそうだ。このパーティーの中では控え目なほうだ。


ダークエルフの弓使いは伯爵令嬢でピアース王子とは幼馴染らしい。母親や姉の影響もあり、ピアース王子も子供のころ、少し弓を習っていて、そのころからの知り合いみたいだ。ピアース王子が旅に出てすぐ、偶然再会したらしい。噂だが、ピアース王子が通るであろう街道で何日も待ち伏せをして、偶然を装って再会したとのことだったが、真相は分からない。


そして、一番危なそうなのは、教会関係者の女神官だ。ピアース王子が宿泊している宿に突如押しかけ、「あなたを助けるようにと神のお告げがありました」と強引にパーティー加入したらしい。

私の偏見かもしれないが、先代勇者パーティーの聖女といい、このパーティーの女神官といい、宗教関係者には碌な奴がいないと思う。


かなり個性的なメンバーだが、ニューポートの魔族の間では大人気だった。ピアース王子の人気もさることながら、他のメンバーもみんな美人で実力者でもあるし、訓練所で冒険者や地元のゴブリン達に指導をしていたからだ。


しかし、トラブルも起きた。ピアース王子見たさに連日女性のファンがギルドの訓練所に詰めかけており、喧嘩などが頻発していた。こちらとしては増設されたギルドの訓練所はDP回収ゾーンなので、嬉しいかぎりではあるが。


一番の事件は、オーガの女戦士と押し掛けた阿修羅族の女性ファンの大喧嘩だ。並みの冒険者では収集がつかず、勇者パーティーが出動してその場を収めた。

結局、二人で模擬戦を行うことになり、勝負がつかず、お互いを認め合う形で仲直りした。しばらくするとギルドに併設した酒場で二人が肩を組んで


「「ピアース王子を愛する同志として、一緒に頑張ろう!!」」


と言って飲んでいた。次の日、この阿修羅族の女性もチームピアースに加わることとなった。


ヘンリーさんは言った。


「トラブル防止の観点から、リバイネ様の救出作戦への参加は見送ろう」


私もそう思う。

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