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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第四章 オリジナルダンジョン

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激闘!!勇者パーティー 1

いよいよ勇者パーティーがダンジョンに挑戦する。

私達はというとマスタルームでお茶会を開いていた。ダンコルと契約しているダンジョングループのメンバーが一堂に会している。「ミスタリア」からはラッセルさんとミーナ、「試練の塔」からはキョウカ様とミルカ様と骸骨騎士様ロンメルさん、「光の洞窟」からはネロスさん、「クワトロメイズ」からはニールさんとルキアさんが参加している。

お茶会に先立ち、ひと悶着あった。ドライスタ様とキョウカ様が舌戦を繰り広げていた。


「あらあらトカゲさんもダンジョンを持つことになったのね。大先輩として色々と教えて差し上げてもよろしくってよ」


「何を!!この耳長女みみながおんなが!!貴様に教えを乞う必要はない」


ミルカ様によるといつものことらしい。長命種ならではの挨拶みたいなものだと思ってほしいとのことだった。ミルカ様と奥様のリバイネ様は仲良く話している。

他の参加者もそれぞれ楽しんでいる。私とミーナ、新人スタッフ3名は年齢も近いこともあり、ガールズトークをしているし、ラッセルさんとニールさんがダンジョンについて語っている。


「このダンジョンはミスタリアとクワトロメイズが合さったようなダンジョンだな。参考になることも多い」


「そうですね。ドライスタ様の圧倒的魔力は真似できませんが、見習うべきところも多くありますね」


そして今回の主役は何と「光の洞窟」のネロスさんだった。ダンジョンボスもヘンリーさんとの共同開発だという。どんな戦いになるか楽しみだ。ネロスさんは言う。


「怪我の功名とは正にこのことですね。上手く行けば商品化できるかもしれません。それにクワトロメイズさんからテトラシティでサブダンジョン構築依頼も来てますしね」



楽しいお茶会も終わり、いよいよ勇者パーティーがダンジョンにやってきた。みんながモニターを見詰める。勇者パーティーが最初にやって来たのは飛行系のエリアだった。ここでは飛行する魔物が多く出没する。基本的に遠距離攻撃ができるパーティーであれば一般の魔物は苦労せずに討伐することができる。勇者パーティーで遠距離攻撃ができるのは勇者と魔法使いの女だけだろう。サポーターの少年がスリングショットで攻撃できるが、射程が短く、不意打ちができる状態でなければあまり効果をなさないだろう。このエリアが一番、勇者パーティーは苦労するものと思われた。


しかし、そうはならなかった。ダンジョンボスはワイバーンで通常の個体よりも強力なものを用意していたが、魔法使いの女の魔法ですぐに落下させられた。杖を新調したみたいで、遠距離攻撃の精度や威力が格段に上がっている。地上に落とされたワイバーンはあっけなく討伐された。


「勇者パーティーは、見るたびに成長してますね。魔法使いの女性もここまで遠距離攻撃が得意ではなかったのですがね。ダンジョンの攻略に合わせて杖を新調するなんて、なかなかやりますね」


ヘンリーさんが解説する。


次に勇者達は植物系エリアに入った。ここのボスはキラートレントだ。通常のトレントよりも3倍くらい大きく、凶暴なのでBランクに指定されている魔物だ。蔓や枝を伸ばして攻撃する。

しかし、ドワーフの女戦士が大斧で一刀両断にした。ここまで強力だと属性なんて関係ない。

そして、鉱山エリアでも危なげない戦いを見せ、3つのキーストーンを入手していた。


勇者達は、壁にキーストーンを埋め込む前に話し合いをしていた。内容を聞くと、「ダンジョンの難易度が上がり、次のダンジョンボスは油断できない」と語っていた。色々な場面を想定して、綿密に打ち合わせをしている。

ヘンリーさんは言う。


「勇者パーティーもダンジョンボスがA級以上の魔物が出てくることは予想しているでしょう。ここで少し演出を考えています」




しばらくして、勇者達は壁にキーストーンを埋め込み、出現した転移スポットから転移した。

転移した勇者達にドライスタ様が語り掛ける。姿は現さなかったが、威厳に満ちた声色だった。


『ワハハハ!!勇者よ、よく来たな。お前達のために特別なダンジョンボスを用意したぞ!!ミスリルワイバーンだ!!』


(ミスリルワイバーン?)


ネロスさんが解説する。


「ヘンリーさんと共同開発したのは、スポーン(魔物発生装置)から出現する魔物をコーティングする魔道具です。今回は普通のワイバーンにミスリルコーティングをしました」


「光の洞窟」では、ダンジョンボスのミスリルリザードが討伐された後、なぜか鉱石の産出量が増加した。調査した結果、DPから鉱石を発生させる機能が残ったままで、ミスリルリザード程ではないが、DPが回収され続けているそうだ。

現在のDP収入状況からすると微々たるもので、大きな影響はないらしい。


「なので、何かできることはないかと模索していたところ、今回の魔道具を開発しました。ミスタリアさんにもクワトロメイズさんにも興味を示していただいてます」


クワトロメイズのニールさんが続ける。


「早速ですが、「脳筋将軍」ことオーウェンさんは興味を示してましたね。実際の性能を見て、購入を考えてもいいと代表のクリスさんも言ってます」


勇者パーティーとの戦いだけでなく、新型魔道具のお披露目会でもあるようだった。


ミスリルワイバーンは、ワイバーンをミスリルコーティングした魔物で、「光の洞窟」のダンジョンボスだったミスリルリザードの特徴も有している。ミスリルなので防御力が高く、ミスリルの弾丸による攻撃もできる。

ヘンリーさんが解説してくれる。


「勇者パーティーは守備的に戦うでしょうね。序盤は魔法使いの女性とミスリルワイバーンの遠距離からの撃ち合いになりそうですね」


戦闘が始まるとヘンリーさんの予想どおりになった。魔法使いの女とミスリルワイバーンの撃ち合いが続く。このままいけば、魔法使いの女の方が魔力切れになるだろう。


「聡明な勇者なら魔法使いの女性の魔力が切れた時点で撤退を考えるでしょうね。撤退すれば我々の勝ちです」


このダンジョンは侵入者を全滅させることが目的ではない。格言に「攻略されないダンジョンはない」というのがある。いつかはダンジョンを攻略されるだろう。それにまだプレオープンだしね。

でも一度くらいは勇者パーティーを撤退に追い込んだという実績も欲しい。


そんなことを思いながら、勝敗の行方を見守る。

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