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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第四章 オリジナルダンジョン

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勇者パーティ―の挑戦

ダクネスから報告のあった女性だけのパーティーを分析する。

大柄な熊獣人の三姉妹が前衛で、しっかりと攻撃を受け止める。メインアタッカーは覆面の弓使いの女性だ。魔弓術の使い手で、かなりの攻撃力がある。そして回復役からサブアタッカーまで幅広くこなしているのは覆面の魔法剣士の女性だ。

バランスが取れ、破壊力もあるパーティーだ。ダクネスが報告してくるのも頷ける。


すでに2つのエリアを攻略したそのパーティーは一端セフティースポットで休憩を取っている。休憩中、弓使いの女性と魔法剣士の女性は覆面を外していた。徹底的に隠そうとはしていないらしい。


「ヘンリーさん!!あれってミランダ社長ですよね?それにあの弓使いも・・・」


「そうだ。魔国デリライトのアグエラ王太子妃だ」


ヘンリーさんが言うには、魔国デリライトのアグエラ王太子妃は5代目の勇者らしい。元勇者で魔族領の魔国デリライトの王太子妃だなんて、ちょっと訳が分からない。それは置いておいても、コンサルタントをしている会社の社長がダンジョンを攻略しに来るなんていいのだろうか?

私が尋ねるとヘンリーさんは言った。


「契約上は問題ないと思うけど・・・。それにダンジョンの立ち上げからプレオープンまでミランダ社長はほとんど顔を出さなかったしね。最初からダンジョン攻略に挑む予定だったんじゃないかな?」


ミランダ社長のことだ、止めるように言っても無駄だろう。



それから監視を続けていると5代目勇者パーティーも順調に攻略していった。そしてダンジョンボスに挑む。今回のダンジョンボスはエビルホークという鳥型のBランクの魔物だったが全く歯が立たなかった。

相手のメインアタッカーは一級品の弓使いで、エビルホークの遠距離攻撃も熊獣人3姉妹に防がれる。接近戦を試みても、メインアタッカーの弓使いには近づかせてくれない。

見せ場を作ることもできずに討伐されてしまった。

ミランダ社長も仲間達も大喜びだった。



5代目勇者パーティーの攻略から3日後、ミランダ社長がダンジョンにやって来た。私は少し文句を言った。


「ミランダ社長。ちょっと酷いと思いますよ。部下に全部押し付けて、自分はダンジョン攻略に挑むなんて・・・」


「それは悪かったね。でも私はこっちの仕事もあるからね」


ミランダ社長は1冊の本を渡してきた。


「ダンジョン格付けチェック(ユリシア大陸版)」 ミランダ・マース著



ミランダ社長は続けて言う。


「それなりに人気はあるんだよ。だから集客の面でも貢献できると思うんだよね・・・・」


半分以上は、本人の趣味だろうけど、ドライスタ様への言い訳は一応は立っている。





本日、ミランダ社長がダンジョンに訪れたのは、定期ミーティングのためだ。プレオープンして1ヶ月経過したので、問題点の洗い出しや意見交換のために開催することにした。出席者はダンコルのメンバー3名と新人スタッフ3名、ドライスタ様御一家だ。

最初は、ヘンリーさんからの業務報告で始まる。


「資料のとおり、かなりのDPダンジョンポイントを回収できています。このままいけばドライスタ様は新人ダンジョンマスターランキングでトップ3には入れると思われます」


「よく分からんが凄そうだな!!1位に成れるように頑張ってくれ」


ドライスタ様は機嫌が良さそうだ。新人ダンジョンマスターランキングとは、ダンジョンマスターになって10年以内のダンジョンマスターのランキングで、ダンジョン協会に納めたDPの量で決まる。1年目でトップ10入りすること自体が珍しい。

しかし腑に落ちないこともある。DPをダンジョン協会に納めれば納める程、ダンジョン協会は得をする。なんのメリットがあるのだろうか?

私としてはダンジョン協会に加入する必要なんてないとも思う。


「続きまして、報告です。とうとう勇者パーティーがダンジョン攻略に挑むそうです。そこで提案のですが・・・」


ヘンリーさんの説明によるとこのままでは、余裕でダンジョンを攻略されてしまうとのことだった。現在のところ、エリアボスはC級、ダンジョンボスはB級の魔物を出現させている。ヘンリーさんの提案では、エリアボスはB級、ダンジョンボスはA級以上を出現させてはどうかとのことだった。

ミランダ社長が提案を受け入れる。


「DPにかなりの余裕があるからいいんじゃない?それに簡単に攻略されたら、それはそれでドライスタ様の威信に関わるでしょ?面白そうだし・・・」


(メインは面白さ優先か・・・・)


「ドライスタ様はどうでしょうか?」


「構わんぞ。存分にやるがよい」


最近、思ったのだがドライスタ様は細かいダンジョン経営にタッチしない。長命種の特徴だろうか?私達が悪徳業者なら、キョウカ様と同じように、かなりの額をぼったくられているだろう。


「分かりました。それではダンジョンのレベルアップを行います。そしてダンジョンボスですが、新型を用意してみます。楽しみにしておいてください」



ダンジョンの改装は新人スタッフ3名に任せ、私とヘンリーさんはニューポートの町での情報収集と領主である勇者への御挨拶に向かった。ヘンリーさんが龍神様の名代としてダンジョン攻略への激励に来た形だ。それとなくダンジョンのレベルが上がることを伝える。

勇者は言う。


「領主をしながらですと、なかなか準備が整いませんでした。勇者としてだけなら、攻略に専念できたんですがね・・・。でも、忙しい業務の合間にもトレーニングは欠かしていませんでしたよ」


勇者も苦労しているようだ。

勝負はどうなるか分からないが、正々堂々と戦おうと思う。

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