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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第四章 オリジナルダンジョン

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プレオープンイベント

ダンジョンの構築も順調に進んでいっているなか、私とヘンリーさんはニューポートの領主館に来ていた。理由はプレオープンの告知とオープン記念式典の依頼のためだ。

役職として私達はドライスタ様の秘書という設定にしている。それとまた、ヘンリーさんが意地悪を言ってきた。


「馬鹿にされるとあれだから、ナタリーはあまり喋らないでね」


「ちょっと最近失礼ですよ。私でストレス解消でもしてるんですか?」


「ごめん、冗談だよ。でも言動には気を付けてね。調査した結果だと、勇者はまっすぐな性格で搦め手に弱いけど、周りを固めてる側近達は抜け目がなさそうだ。特にギルマスの女性は要注意だよ。ミランダ社長にも注意するように言われてるからね」


「分かりました」


「ナタリーは黙っていれば、綺麗で仕事ができる女に見えるからね」


「それって褒めてるんですか?それとも貶しているんですか?」


「両方だよ」


そんな会話をしながら勇者との面会を待つ。最近、ヘンリーさんの様子がおかしいのは気のせいだろうか?

すぐに謁見の許可が出たみたいだで、私達はすぐに勇者の元に案内された。ヘンリーさんが挨拶をする。


「お久しぶりですクラシア王女。ヘンリー・グラシアスです。こちらは助手のナタリー・ヒューゲルです。現在はグリーンドラゴンのドライスタ様の秘書のような仕事をしております」


「久しぶりですねヘンリーさん。お元気でしたか?学園以来ですね」


「1年という短期留学でしたが、覚えていただけて嬉しく思います」


勇者もヘンリーさんを覚えていたみたいだった。まあ、これだけ優秀なので、短期留学でも絶対に覚えているだろう。私はというと勇者をモフモフしたい衝動を抑えるのに必死で厳しい顔をしていた。

多分、傍から見ると気の強い女に見えたかもしれない。

(勇者は獣人の中でもかなり質のいいケモ耳をしている。尻尾もモフりたい)



挨拶を終えて、ダンジョンのプレオープンを伝え、記念式典の依頼をした後のヘンリーさんはかなり強気で高圧的な態度で交渉していた。龍神神殿の付近の土地はすでにDP回収スポットにしており、ヘンリーさんは、そこを早急に開発するように要請した。これには領主の勇者がムッとして、険悪な雰囲気になり、私は気が気ではなかった。後で教えてもらったのだが、ヘンリーさんによるとこの地域でドライスタ様は龍神様と崇められている存在で、下手に出るよりはこの方がいいとのことだった。有無を言わさない姿勢が、今後の交渉も有利に進むとの判断らしい。多分、私に喋らないように言ったのは、悪役は自分一人でいいと考えてくれていたのだと思う。


少し感情的になった勇者であったが、ヘンリーさんが差し出した都市計画を見て、声を詰まらせた。ここまで完璧な計画は珍しいだろう。なんたって、ヘンリーさんは、あの何もなかったカーン子爵領をオルマン帝国北部で有数の裕福な領にしてしまったのだから。

そんなとき、勇者のお腹がグーと鳴った。勇者は恥ずかしそうにしていたが、私達を食事に誘ってくれた。料理はカーン子爵の五男さんが担当してくれるらしい。かなり楽しみだ。


料理はフルコースだった。いつも食べているギルドに併設された食堂のメニューとは違い、宮廷料理顔負けの豪華な料理が並ぶ。キョウカ会のメンバーの公爵婦人の専属料理人が絶賛するだけのことはある。メインはワイバーン肉の料理だったが、あのワイバーンがここまで美味しくなるとは夢にも思わなかった。

そして、ヘンリーさんの提案でダンジョンプレオープン記念式典の後にドライスタ様御一家と食事会をすることが決定した。この料理はドライスタ様達も喜ぶだろう。


食後は関係者を集めて、龍神神殿の付近の開発計画の会議となった。ヘンリーさんの作成した資料を見たギルマスの女性は言う。


「ヘンリーさん。アンタただ者じゃないね」


他のメンバーもヘンリーさんを称賛していた。細かいところを詰めながら、最終的には、ほぼヘンリーさんの計画書のとおり、開発が進むことになった。会議が終わり、帰り際にヘンリーさんが言う。


「DP回収スポットに冒険者ギルドの支部、治療院、冒険者用の簡易の宿泊所がすぐに建設されるだろうね。それにカーン子爵領でも付き合いのあったネリス商会が虎視眈々と利権を狙っているね。すぐに商店や飲食店なんかも建設されるから、そこだけでも莫大なDPが回収できるよ」


勇者やその側近達も優秀ではあったが、ヘンリーさんはその上を行っている。最近、特に思うのはヘンリーさんは一体何者なのだろうか?




そして、いよいよオープン記念イベントが始まる。来賓も豪華だった。ノーザニア王国国王夫妻が主賓で、魔国デリライトの王太子夫妻等が続く。国際情勢を配意した形で、今回はノーザニア王国が国王が出席することから魔国デリライトは一段位が下がる王太子を派遣してバランスを取った形だ。担当者の苦労が伺える。

その他にも商業ギルド本部のギルマスでネリス商会の会長、冒険者ギルド本部のギルマス、聖母教会の聖女候補、オルマン帝国の外交官が続く、豪華な顔ぶれだ。

ただ、ドライスタ様御一家の登場で彼らも霞むことになる。


空から3体のドラゴンが姿を現した。モスグリーンの鱗を持つ大きなドラゴンがドライスタ様、リバイア様は美しい青色の鱗を持っており、ドライスタ様よりも少し小さい。

そして、二人よりもかなり小さいドラゴンがドミティア様でエメラルドグリーンの鱗が特徴的だ。

来賓も会場の観客も驚愕している。

私だって最初に対面したときには腰を抜かしそうになった。来賓は流石というか、すぐに冷静さを取り戻したが、観客は騒然となっていた。何とか落ち着いたところで、領主である勇者が挨拶を開始する。式典は滞りなく進行したが、ドライスタ様が思いもよらないアドリブの発言をする。


「もし、1年経ってもダンジョン攻略パーティーが10組に満たない場合は、世界を滅ぼしてやろう!!ワハハハハ・・・」


会場は凍り付いた。ヘンリーさんに耳打ちされドライスタ様も空気を読んだみたいで、


「というのは冗談だ!!ここは笑うところだぞ。だが、なるべく多くのパーティが攻略できることを我は願っている」


と言ってなんとか切り抜けた。

最近、ドライスタ様はアドリブが多く困る。本人は威厳を保とうと努力しているので、注意できないし、困ったものだ。

ドライスタ様の言葉を受けて、勇者も場を和まそうと声を掛ける。


「龍神様の提案をお受けいたします。もし、ダンジョン攻略パーティーが10組となった場合は、何かご褒美をいただきたく存じます」


結局、ドライスタ様もこの提案を受け入れ、式典は無事終了した。後でヘンリーさんが言った。


「クラシア王女も強かになりましたね。学生時代はもっと素直だったのに・・・・」


少し寂しそうなヘンリーさん。もしかして・・・・




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