表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第四章 オリジナルダンジョン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/152

事件です

ヘンリーさんと私はニューポートの総合ギルドに来ていた。情報収集のためだ。まず、総合ギルドについてだが、冒険者ギルドと商業ギルドが統合したギルドで、業務が重なる部分を上手く補うために実験的に作られた組織だそうだ。ニューポートでは人族も様々な試みをしているようだ。失敗してもリスクは少ないからね。


そして私はヘンリーさんをギルドに併設されている食堂に案内する。私のお気に入りの食堂だ。「新風亭」という店名で、なんとあのカーン子爵の五男さんが監修をしているのだ。本当に美味しくて、今日は新作メニューが出るので、調査にかこつけてやって来たのだった。


「ここに座っているだけでも、情報が集まるね。いい場所を見付けたね」


ヘンリーさんに褒められた。本当は料理が美味しいから入り浸っていただけなのだが・・・

向いの席の商人達が商談をしていた。有益な情報が多々あった。


「キノコはいいな。それに珍しい」

「燃える泥は今後大きな儲けのチャンスだ」

「スパイス関連も今後は伸びると思いますね」



しばらくして料理が運ばれてくる。馴染みの店員のおばちゃんから声を掛けられた。


「あれ?今日はデートかい?」


「そんなところです」


ちょっとデート気分で嬉しい。ヘンリーさんはというと、にこやかにおばちゃんと会話していた。

料理も美味しかった。


「味付けも一流。地元の特産品の味を生かしてるね。なかなかの腕だ」


ヘンリーさんに気に入ってもらってよかった。私は毎日のように通っている。調査用の経費を支給してもらっているので、実質食べ放題だ。情報も先程の商人達が話した内容をまとめて報告するだけだから、楽なもんだ。

しかし、少し心配なこともある。それをヘンリーさんに指摘されてしまった。


「ナタリー。最近、少し丸くなったんじゃないか?胸のほうに栄養がいけばいいのにね」


「そ、それは・・・。胸のことはちょっと・・・・」


体重が増えたことは認めよう。まぎれもない事実だ。しかし、胸のことは言われたくない。

最近、ヘンリーさんはちょいちょい、私をからかってくる。打ち解けてくれて嬉しくはあるのだが。

ヘンリーさんは私がむくれているのを見て、ハッとしたみたいで謝ってきた。


「すまない・・・言い過ぎた・・・」


「いえいえ。慣れてますから」



そんな感じでデートっぽい?雰囲気で食事をしていたところ、はす向かいの席に勇者の一団がやって来た。勇者もここの新作メニューを食べに来たみたいだった。

勇者を間近で見たのは今回が初めてだ。整った顔をしている。身長は女性にしてはかなり高く、筋肉質だ。それに胸がデカい。そして私が最も注目したのは尻尾とケモ耳だ。多分獅子族だと思われるが、モフモフマニアの私としては、モフモフ衝動を抑えるのに必死だった。欲望に負けてモフモフしてしまえば、無礼討ちにされるだろう。


そんな思いを抱えながら、聞き耳を立てる。

勇者と一緒に来ていたのは同じパーティーの魔法使いの女と神官騎士だった。二人は聖母教会で働いているらしい。しばらくしてエルフの拳闘士とドワーフの女戦士もやって来た。この二人はギルドの臨時職員として働いているそうだ。

その後、ギルマスの女性とサポーターの少年(カーン子爵の五男さん)も合流して、楽しく食事会をしていた。みんな、料理を褒めていた。


会話の内容は、領地運営のことが中心だった。それと、いずれは東の海も開発したいと言っていた。リバイア様の妹のリバイネ様の問題もあるのですぐには解決できないが、その意思があるだけでも、こちらとしては助かる。


そんなとき、ギルドに血塗れの冒険者が駆け込んできた。理由は、南の草原で燃える泥の採取活動の護衛をしていたが、突如ワイバーンの群れが襲ってきたらしい。現在も冒険者が採取作業員を守るために交戦中だという。

勇者パーティーはちょうど揃っていたことから、すぐに出動するみたいだ。領主自ら真っ先に出撃するなんて、大きな国では考えられない。

私はヘンリーさんを見る。


「やはりそうなるか・・・・。これがそこら辺に素材発生装置を置かない理由なんだ」


ヘンリーさんの説明によると凝ったダンジョンにしなくても、その辺に素材発生装置を置いて、DPダンジョンポイントの回収スポットにすれば、簡単にDPを稼げると思うかもしれないが、そうもいかないらしい。デメリットとして、強力な魔物を呼び寄せてしまうことが多々あるそうだ。今回は古龍のドライスタ様の魔力を使っているので、下等龍種のワイバーンの群れが吸い寄せられて、やってきたと考えられる。


「ワイバーン程度が対処できないようなら、リバイネ様用の戦力としては駄目だろうね。僕達も様子を見にいこう。どうしても無理そうなら、対策を考えるよ」


そして、私とヘンリーさんは勇者パーティーが去った後にギルドが応援の冒険者を募集していたので、それに応募した。以前に冒険者登録をしておいたことが役に立った。

部隊編成はギルマス自ら行っていた。かなり手際が良かった。


「弓使いは中央、魔法使いはその後ろ、回復術士は受付に行ってくれ!!そこで冒険者ランクをスタッフに教えて欲しい・・・・」


大まかに戦力を把握して、即席の部隊を作るようだった。ヘンリーさんも感心している。


「クソ!!もっと弓使いがいれば助かるのに・・・・」


ギルマスが呟く。

もしかしたら、その願いが届いたかもしれない。偶然軍事演習のためニューポートを訪れていた魔国デリライトの魔道弓兵隊が救援に向かうことになった。魔道弓兵隊とはエルフ伝統の魔弓術の精鋭を集めた部隊で、魔国デリライトのアルテミス王女が中隊長をしている部隊だそうだ。遠距離攻撃に特化している部隊なので、今回のワイバーン討伐作戦は打って付けの任務だろう。

結局、冒険者の部隊は魔道弓兵隊の指揮下に入りそのサポートに回ることが主な任務となった。



気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ