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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第四章 オリジナルダンジョン

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ニューポート

「こ、これが港湾都市ですか?」


私は思わず口に出してしまった。

現在、私とヘンリーさんは調査のため、ドライスタ様御一家が居住する龍神山の麓の港湾都市ニューポートに来ている。想像以上の寂れ方をしていた。

大した産業もなく、ゴブリン達が細々と暮らしているだけだった。

町の掲示板には破れてボロボロになったポスターが貼ってあった。


「希望に満ちた新しい都市ニューポートで、君も夢を掴もう!!」


見る限り希望も新しさも全くない。魔国デリライトが開発に乗り出したが、上手く行かずに途中で撤退したらしい。町に居るだけで、胸が苦しくなる。

普通ならこんなところにダンジョンなんか絶対にオープンしない。採算が取れないからだ。しかし、勇者パーティーが魔族チームとの決戦に勝利して、正式に勇者であるラーシア王国の王女クラシアが領主となり、開発に乗り出すことが決まり、今後大きく発展することが予想できる。実際ミランダ社長は現地で観戦していたようで、感想は「いい試合で面白かった」とのことであった。


「想像以上に寂れてますね。いくら勇者でもここを立て直すのは厳しいんじゃないですか?」


「そうだね。でも大丈夫だと思うよ。彼女は強いし、いい仲間にも恵まれているからね。まずは僕達も町だけでなく周辺の環境も調査しよう」


ニューポートは魔国デリライトの東南にある海沿いの町だ。

ニューポートの北にはドライスタ様御一家が居住する龍神山、東に海、南に草原、西に森がある。ニューポートが発展せず、開発計画も頓挫した原因をヘンリーさんは解説してくれた。


「海に面しているから発展してもおかしくはない立地だけど、リバイネ様がクラーケンとなってしまって、海域は通行できない。無理をして海路を確保したとしても交易する相手先がない」


魔国デリライトの南は人族領で、海路を利用した交易となると当然人族との交易となる。しかし、隣国のノーザニア王国とは実質的には良好な関係を築いているが、表向きは戦争状態だ。なので、苦労して海路を確保しても魔国デリライトとしては旨味がない。

しかし、勇者が領主となり、人族が多く居住する都市になれば、交易が活発になる。そうなれば、領主として東の海の海路の確保に乗り出すだろう。

そのときにリバイネ様を治療するチャンスがある。


「どちらにせよ。まずは人、特に冒険者を集める政策を取ることが先決だろうね。東の海は一端保留にして、西の森と南の草原の調査をしよう」


まずは西の森に来た。

出現する魔物だが、グレートウルフ、グレートコング、グレートベアがメインで冒険者ランクでいうところのCランクは以上でないと厳しいと思う。しかし、それなりに貴重なキノコや鉱石も取れるみたいだった。


次に南の草原に来た。グレートボアとグレートブルが少数いるくらいで目ぼしいものはなかった。


「魔物の素材と採取素材だけでもある程度の収益は得られるだろうね。僕達からも領主就任祝いをしてあげよう」


ヘンリーさんが意味深なことを言った。




調査を終えた私達は、ドライスタ様の元に戻った。調査結果と今後のダンジョンの計画をプレゼンするためだ。


「今回のダンジョンのコンセプトは、採取型であり、挑戦型のダンジョンです。この試みは多分大陸初でしょう」


ダンジョンには大きく分けて3つのタイプがある。採取型、挑戦型、そしてどちらにも属さない特殊ダンジョンだ。

採取型は、発生させる素材を餌に冒険者を集める方式でミスタリアグループのダンジョンがこれに当たる。ダンジョンボスにDPを掛けない分、採取素材にDPを掛けれる。挑戦型は攻略を目的とした冒険者に入場してもらうことでDPを得る方式だ。クワトロメイズのダンジョンなんかはそれに当たる。

そして、この二つのタイプのダンジョンに当てはまらないダンジョンは「光の洞窟」や「試練の塔」だろう。


「ダンジョン経営学部の講義では、どっちつかずのダンジョンは経営が危なくなるということを習った気がしますが・・・・」


「それは基本だね。だけど今回はオリジナルダンジョンで、大陸でも1.2を争う魔力量の持ち主のドライスタ様が作るダンジョンなので、心配はないと思うよ。それにニューポートも数年以内には大都市となっているかもしれないからね」


ヘンリーさんの話では多少無理しても、DPを十分回収できるとのことだった。一体どんなダンジョンになるのだろうか?


「とりあえず、こちらをご覧ください」


ヘンリーさんの計画書を読む。なるほど、これなら何とかなる。念のため、いきなり本オープンするのではなく。プレオープンして様子を見る戦略のようだった。


「次に新しいダンジョン構造の説明に移ります。実験的な運用ですが、DPの飛び地回収を提案します」


ヘンリーさんの説明によるとニューポートの西の森と南の草原にDPを回収できるスポットを飛び地で設定する。そこには素材発生装置を置いて、ランダムでキノコなどの素材を発生させる。魔物については、発生させず自生の魔物を強化する魔道具を設置するだけに留めるみたいだった。これにより、広範囲でDPを回収できるようだった。


「発生させる素材も候補を選んでおきました。ここまでの説明で何か疑問点等はありますでしょうか?」


「我はないぞ。存分にやってくれ」


「ありがとうございます。それではこれで進めさせていただきます。それとドライスタ様にやっていただきたいことがあるのですが・・・」



ヘンリーさんからドライスタ様への要望は、ニューポートにやって来た勇者に「ダンジョンをオープンする」旨を伝えることだった。これにはドライスタ様は快く応じてくれた。というか、かなり乗り気だ。今も龍の姿になって、セリフじみた言葉を練習している。練習相手はダークリザードのタリーザだが、熱烈な信者で感動に打ちひしがれている。何を言っても称賛の嵐だ。



変な方向に進まないことを祈るのみだが・・・・

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