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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第四章 オリジナルダンジョン

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就職説明会

とうとう就職説明会当日が来た。

この日のために自分なりに準備をしてきた。学生用の資料にはミルカ様のアドバイスを基にして、ブランドを前面に出すことにした。学生用のパンフレットにはこのように書いている。


古龍エンシェントドラゴンのオリジナルダンジョンで勤務しませんか?一からダンジョンを作る楽しみを味わおう!!」


ミーナは言う。


「当たりはずれが激しいかな?どっちに転ぶやら・・・」


私もそう思うが、成績上位者や無難な就職先を求める学生は来ないだろうな。来るとしたらクズか訳ありか、変り者だろう。あれ?なんか勇者パーティーみたい・・・・


会場に着くと私とミーナとルキアさんでブースの設営をする。一人も学生が来ないかもしれないと思うと凄く不安だ。そんな気持ちを抱えた中、就職説明会は始まった。開始してすぐに一人の女学生がやってきた。見た感じリザードマンに見える。プロフィールを見ると魔族とリザードマンのハーフのようで、ダークリザードという種族、名前はタリーザ。

簡単な内容とダンジョンコンセプトを説明したところ、タリーザは泣き崩れた。


「あ、ああ・・・龍神様!!龍神様のお側で・・・・ああ・・・!!」


「ちょっとどうしたんですか?落ち着いてください」


私とミーナとルキアさんで何とか落ち着かせて、話を聞く。リザードマンにとって古龍エンシェントドラゴンは神に近い存在で、信仰の対象らしい。パンフレットを見るまでは、普通に就職先を探していたらしいが、もしかしたらと思いこのブースに立ち寄ったみたいだった。

それからタリーザは就職希望届を出して、細かく質問してきた。ダンジョンの話はそっちのけだったが・・・・。


「まあ!!水龍様とお嬢様もいらっしゃるのね!!感動です」


悪い人ではなさそうだが、ちょっと普通の人ではなさそうだ。ここで断りでもしたら、かなりヤバいことになりそうな予感はある。タリーザさんはもう就職が決まったと思い込んでいるし・・・。


それから午前中はブースに立ち寄る学生はいなかった。予想していたとおりではあるが。

昼休憩は私が用意したお弁当をみんなで食べることにした。さすがにすべて無償で手伝ってもらうのは心苦しいいので、普段よりも豪華目に作ってきた。グレートボアの燻製肉のサンドイッチはもちろん、魚の塩漬けを使ったパスタなんかも持ってきていた。


「美味しいですわ。リザードマンは、基本的に魚が大好きなんですよ」


って、タリーザさんもなぜか昼食を一緒に取っている。内定をもらうまでは、絶対に離れないそうだ。

そんな感じで昼食を取っていたら、小柄で少しずんぐりした女子学生がやって来た。タリーザさんの知り合いのようだった。


「ダクネスじゃない。どうしたの?」


ダクネスという女子学生は、プロフィールを見るとドワーフと魔族のハーフでダークドワーフという種族のようだった。事情を聞く。


「そ、それが・・・・どこも断られて・・・・このままじゃ」


詳しく聞いてみると、成績が最下位らしい。ダンジョン工作や罠の設置などはドワーフの血を引いているらしくトップクラスの成績だったが、後はまるで駄目だったそうだ。なので、プロフィールチェックで、どこのブースも弾かれてしまったらしい。

ミーナが言う。


「この成績じゃあ、うちのグループでも難しいわね。「特化タイプで有能」とかいう教授の推薦状でも持っていれば話は違っていたけど・・・」


もちろん推薦状などは持っていない。私は過去の自分を思い出して、他人事とは思えなかった。凄くつらくて、みじめな気持ちだろう。なので、就職活動は別にして昼食を一緒に食べることを進める。


「いっぱい作ってきたから、あなたも食べて」


「ありがとうッス。燻製肉、旨いッス」


ダクネスは、美味しそうに食べている。少しでも元気になればいいかなと思う。

雑談のついでに色々と聞いてみた。


「ここのダンジョンは興味ある?」


「そうッスね。この際どこでもいいッス。雑用でもなんでもいいんで雇ってほしいッス」


「分かったわ。説明会の終了後に社長が来て最終チェックをするみたいだから、その結果次第ね。ここでの一次審査は合格ということにしておきます」


「本当ッスか?ありがとうッス」


私の使命はミランダ社長の前に候補者を連れて行くのが仕事だ。あまりにもヤバい人は除いて、最終判断はミランダ社長に丸投げしよう。


そして、就職説明会も終了時間を迎える。

目標の3人には届かなかったが、0人という最悪の事態は回避できた。この結果には満足するしかない。私はミーナとルキアさんにお礼を言い、ブースの撤収作業に入った。

そんなときに一人の女子学生が訪ねてきた。


「どうしても話を聞いてほしいのであれば、聞いてあげてもよろしいですわ」


(多分、ヤバい人だ。もう2人確保したし、トラブル防止の観点からも帰ってもらおう)


「ありがとうございます。残念ですが、本日の募集は終了しました・・・」


「だから!!話を伺ってあげてもいいと言ってますよね!!」


話を強引に遮られた。私とその女子学生が話しているとタリーザとダクネスも出て来た。

そして、私に小声で情報を伝えてきた。


「この人は危ない人ですよ。成績はトップなんですけど・・・」


「そうッス。人格破綻者ッス」


二人の話によれば、名前はエリーナ、ダークエルフと人間のハーフのようで、成績はトップだそうだ。しかし、そのコミュニケーション能力の無さから友人はおらず、かなり浮いた存在らしい。それにトップは歴代、人格破綻者が多いと噂が流されているとのことだった。これはヘンリーさんを貶めようとするローレンスさんやダンジョン協会の陰謀かもしれない。

エリーナは、私の説明を聞かずにプロフィールを押し付けて、どんどんと話始める。


「成績は学部でトップです。なのにどのブースも私を門前払いして・・・・多分才能に嫉妬した誰かの嫌がらせだと思うのです。あなた方は運がいいですね。普通では話も聞いてくれないトップの学生が来てくれたのですから」


「・・・はあ」


私のトーク力では、このヤバい人を安全に返すことなんてできないだろう。なので、3人ともミランダ社長のところに連れて行くことにした。


「3人とも1次審査合格です。最終面接は社長のミランダが行いますので、私に着いてきてください」


私は目標の3人の学生を確保したんだし、文句を言われる筋合いはない。

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