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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第三章 対決!!勇者パーティー

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記念パーティー

次に私達が定期訪問したのは「ミスタリア」だった。最初にミーナがいるA-2ダンジョン、人族で言う「始まりの洞窟」だった。私はミーナとじゃれ合う。


「久しぶりナタリー!!って1週間前にお茶したっけ?」


「ミーナ。今日はコンサルタントとしてきたからね。しっかり私のアドバイスを聞いてね」


「何言ってんの?このダンジョンを崩壊寸前まで追い込んだ張本人が」


もちろん冗談だが、本当のことで、今でも深く反省している。

A-2ダンジョンでは、特に問題はないようだった。ヘンリーさんも書類や他のスタッフからの聞き取り調査をしていたが、問題はないみたいだった。

一応直近の町バージニアでも情報を集める。今回はキョウカ様に加えて、骸骨騎士様ロンメルさんとミルカさんも同行している。冒険者ギルドに着くと英雄のように迎えられた。そうだ、このメンバーで過激派から攫われた獣人達を奪還し、数々のか過激派の拠点をかいめつさせたのだから。

ギルマスから話を聞くと


「獣人達も戻ってきましたし、魚の加工販売も軌道に乗り、領主様もご機嫌ですよ。ご褒美に古くなった訓練所の改築も支援してくれます」


上手くいっているようだ。次に私が指導したリザードマンの魚加工工房を訪ねた。


「ウサギのお姉ちゃんだ!!」


そう言って抱き着いてきたのは、私と一緒に過激派に攫われていたリザードマンの少女だ。一応当時のまま、兎人に擬態している。

母親から話を聞くと冒険者として活躍できない人材の雇用先となっていて、みんな喜んでいるようだった。


ここまでの調査で、A-2ダンジョンは問題がないと判断したので、次の訪問先であるB-5ダンジョンに向かうことにした。

B-5ダンジョンではミーナの姉のマーナさんが笑顔で迎えてくれた。事情を聞くと納得だ。


「B-5ダンジョンもそうだけどB-6ダンジョンも順調でかなり収益を上げているわ。このままいけば、新人マスターランキングで上位は間違いなしよ。まあ、休みが減ったけどそれはスタッフが補充されれば解決するし・・・」


ヘンリーさんは書類やDPの収支報告を確認している。特に問題なさそうだ。ミーナさんは続けて言う。


「それで、実験的に周辺の町で情報収集を専門にするスタッフを置いてみたのよ。前回のグリード子爵の件もあるからね。そうだ!!今度カーン男爵が子爵に陞爵したお祝いでパーティーをするみたいよ。お祝いに行ってあげたら喜ぶんじゃない?」


「そうですね」


「というのは口実で、たまに陞爵したり、地位が上がると暴君になったりする領主がいるから、その心配がないか調査してほしいのよね。多分大丈夫だとは思うけど・・・」


ミランダ社長の判断を仰ぐ。


「それくらいなら追加報酬なしで、お受けしますよ。ナタリーちゃんもみんなに会いたいだろうし」




そういうことで、私はカーン子爵領の領都に来ていた。町は以前よりも発展し、町はお祭りムードだった。手ぶらでは悪いので、キョウカ様に習ったハーブティーと木の実のクッキー、テトラシティ産のキノコの詰め合わせを手土産に領主館に向かった。

領主館ではカーン子爵とご家族が笑顔で迎えてくれた。

ヘンリーさんが代表して挨拶をする。


「カーン子爵。この度はおめでとうございます。ますます領地が発展していますね」


「ありがとう。これもヘンリー殿達のおかげだ。せっかくなので、宴を開くからゆっくりして行ってくれ」


そう言うとやっぱり燻製肉工房のおばちゃん達やイサク司祭も呼んでくれた。宴は以前のように楽しく、カーン子爵も地位が上がったからと言って、暴君になることはないと思われた。

私は奥様と話が弾んでいた。勇者パーティーの五男さんのことがメインだ。


「今回の陞爵にはロイの活躍も一役買っているのよ。前回の勇者パーティーのときは腫れ物に触るような扱いだったけど、今回はオルマン帝国の威信を高められるとか言って、ロイを持ち上げようという動きになってるのよ。本当に手の平を返したり、また返したり、節操のない上層部だわ」


「でも息子さんが活躍されてうれしいでしょ?」


「そうね。でも怪我しないか心配だわ」


そんな会話を続けていたところ、奥様は悩みを打ち明けて来た。


「今までの危機に比べたら大したことはないんだけど、少し心配なことがあるのよ・・・・」


奥様が心配しているのは、陞爵記念パーティーのことだった。

陞爵や領地が増えたときなどは、周辺貴族や来賓を招いてパーティーをするのが通例だという。ここで失敗すれば、下に見られてしまい、今後の領地運営に影響が出ることもあるそうだ。それにグリード子爵の子飼いだったドネツク男爵という貴族が派閥を拡大しようと画策し、裏工作をしてくるかもしれないとのことだった。


「パーティーを成功させたいけど、そんなノウハウは私達にないし、こんな田舎に来てくれるような高位の貴族に伝手なんかあるわけないし・・・・」


「そうですね。こればかりは私達にも・・・・」


そう言いかけたところで、キョウカ様が声を上げた。


「そんなことなら、私に任せなさい!!これでも私は終身名誉公爵なのだから」


キョウカ様によるとオルマン帝国建国時に初代皇帝から権威を高めるために名前を貸してほしいと言われたことがあり、これを受けたところ、勝手にその称号を与えられたそうだ。公爵と言えば皇帝の親族にあたるが、血縁関係はないみたいだ。キョウカ様によると勝手に勘違いしてくれるのを狙ったのではとのことだった。因みに納税の義務も戦時の派兵の義務もないそうだ。本当に名前だけ。


「あ、あの?もしかして「試練の塔」のハイエルフ様ですか?高位の、それもかなり上級の貴族しかお目にかかれないという?」


「まあ、そんなところね。来賓は私で十分でしょう。パーティーも私が取り仕切ってあげるわ」


キョウカ様はノリノリだが、嫌な予感がする。キョウカ様のパーティーは、ちょっと・・・特殊だから。これにはミルカ様が助け船を出してくれた。


「来賓はお姉様でいいと思います。パーティーの運営はキョウカ会の者にやらせましょう。お姉様がやるなんて、恐れ多いですわ」


「そうね。そうしましょう」


なんとか納得してくれた。そして、なぜか私達はカーン子爵のパーティーを手伝うことになっていた。

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