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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第三章 対決!!勇者パーティー

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定期訪問

現在ダンコルと契約しているクライアントのダンジョンないし、ダンジョングループは「試練の塔」「光の洞窟」「ミスタリア」「クワトロメイズ」の4つである。

お得意様も増えて事業は軌道に乗っていると言っていい。

本日は、業務報告と今後の運営についてのミーティングを行う。参加するメンバーは私達3人と特別顧問のキョウカ様だ。

(キョウカ様を会議に呼ばないと拗ねるので、仕方なく呼んでいる)


まずはヘンリーさんからの業務報告だ。

ヘンリーさんが忙しくしていたのは、ダンジョン協会の調査とノーザニア王国にベッツという有名な温泉地があるのだが、そこで無許可ダンジョンができたので、その調査だった。


「・・・ということでダンジョン協会が裏で何かしら糸を引いていることに間違いありません。それとベッツの無許可ダンジョンについてですが、ダンジョンマスターは逃走、ダンジョン自体は勇者パーティーに破壊されたそうです」


ミランダ社長は答える。


「ベッツのダンジョンは酷かったと別ルートで話は聞いているわ。ダンジョンブレイクなんて、100年ぶりくらいかしら・・・・。昔は結構あったんだけどね」


(あなたは一体何歳なんですか?)


「ベッツのダンジョンとダンジョン協会との関連は不明ですが、こうもダンジョン絡みで不審なことが起こると疑いたくもなります。それで提案なのですが、契約中のダンジョンへの定期訪問を検討しています」


ヘンリーさんの提案は、契約中のダンジョンの異常を早めに察知して、事態が大きくならないうちに対処しようという考えらしい。ミランダ社長も賛成する。


「そうね。問題が大きくなってからよりはやりやすいし、情報交換もできるからいいと思うわ。それに前回やった交流会のようなことも定期的にやればいいと思うわ」


私もそう思う。今まで大変だったのは問題が大きくなってから対処したからだと思う。たらればの話だが「光の洞窟」なんて、事件が起こる前にダンコルと契約しておけば、危険なダンジョンボスを購入する前に対処できたと思う。


そして、具体的な訪問の日程を決めることになった。最初に訪問するのは「光の洞窟」で、その次が「ミスタリア」、「クワトロメイズ」については、依頼を達成して間がないのでしばらく様子を見ようということになった。

「試練の塔」はというと・・・・。私がキョウカ様に伺いを立てる。


「ところで「試練の塔」はどうされますか?かなりの頻度で行き来してますが?」


「別に来てもらっても構わないわ。無理して来てもらっても、あれだけど、来てもらっても・・・。特に大したもてなしはしないけど・・・別に来るぶんには・・・」


多分、かなり来てほしいんだと思う。最近ではミルカ様による念話の通訳が無くても、ある程度分かるようになってきた。ヘンリーさんも気付いたようで、キョウカ様に答える。


「是非お願いします。「試練の塔」は模範となるダンジョンなので、定期訪問に合わせて第2回の交流会をしてもいいかもしれませんね」


「そうね。どうしても私達を見習いたいというのなら、来てくれても構わないわ」


エルフ特有の長耳がピクピクしている。相当うれしいんだろう。





そんな感じで、定期訪問が正式に決まった。最初に訪問したのは「光の洞窟」だった。マスタールームで新ダンジョンマスターのネロスさんが出迎えてくれた。ネロスさんは私達そっちのけでキョウカ様に挨拶をする。


「き、キョウカ様。ご無沙汰しております。この度は「光の洞窟」にお越しくださり・・・キョウカ様の教えを忠実に守り・・・・」


かなり興奮している。流石はキョウカ様信者なだけはある。

挨拶を済ませた後は、ダンジョンを案内してくれた。まずは1~5階層だ。ミスリルリザード事件の以前の状態に戻り、ノーザニア王国の採取者がせっせと鉱石を採取している。


「元の状態に戻りました。改めてDPダンジョンポイントを計算してみたら、1~5階層だけでも結構DPを稼げるんですよ。情報ではもう少し、採取者を増やすようです」


次に案内されたのは6階層だった。

以前と大きく様変わりしていた。人族の商人やゴブリン達が露店を開き、市場のようになっていた。


「限定的にノーザニア王国の許可を受けた商人を受け入れました。商人の宿泊施設も人族が作ってしまいました。今のところ大きなトラブルはなく、ゴブリン達がぼったくられるようなこともありません。こちらとしても滞在ポイントが稼げて美味しいですね」


ノーザニア王国が許可した商人だけあって、真っ当な商売をしている。ただ、全面的に信用しているわけではないようで、7階層につながる転移スポット付近には、以前にもまして、より強力な砦が建設されており、武装したゴブリン達が常駐していた。


「備えあれば何とかという感じですね。ロンメル師匠には『平時のときこそ気を抜くな』と厳しく言われていますから」


そして、次は7階層だ。ここではゴブリン以外の魔族が多数居住していた。


「実は少し前にお忍びでノーザニア王国国王夫妻が来れられましてね。そのとき依頼があったんです。ノーザニア王国では魔族との融和政策を取っているのですが、それでも迫害される魔族は多くいるそうです。ここにいるのは力が弱く、魔族領にも帰れない者達です。実験的に7階層のみ居住を許可しました」


よく見るとインプ族や小型種と呼ばれる種族が多くいる。元々好戦的な種族ではないため、上手く共生できているようだ。

そして、8階層、9階層のゴブリンの集落はかなり発展していた。私達の姿を見て、代表のゴブタンさんが挨拶にくる。訓練所も出来上がったみたいで、ゴブリン達が軍事訓練をしていた。ゴブタンさんは言う。


「おかげ様でゴブリン軍の練度も上がり、指揮官も育ってきました。防衛戦だけならその辺の軍隊よりも精強だと自負しております。それに定期的にロンメル殿とミルカ様が指導に来てくれるのも大きいですね」


「すべて私の指示です。しっかり励みなさい」


キョウカ様はいつものドヤ顔を決めた。


最後に元ミスリルリザードのボスエリアだが、ゴブリン達が一所懸命採取活動をしていた。ミスリルリザードが討伐されてからも希少な鉱石が採取できるようだった。ゴブリン達の大きな財源となっているみたいで、その資金を基に集落のインフラを整えたり、軍隊を強化したみたいだ。


今のところ問題はなさそうだ。ヘンリーさんがチェックしても、特に大きな問題は無いらしい。ヘンリーさんがネロスさんに念を押して、定期訪問を終えることになった。


「くれぐれもダンジョン協会からの接触があれば、すぐに連絡してください」

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