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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第三章 対決!!勇者パーティー

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女達の戦い

ミスリルリザードは勇者パーティーにより討伐された。勇者パーティーも流石に疲弊しているし、勇者は大技を使った反動からだろうか、フラフラして、立っているのもやっとのようだ。最後まで、あの大技を使わなかったのも納得がいく。

勇者パーティーが一息ついたところで、ゴブタンさんが指示をしてゴブリン軍が勇者パーティーを取り囲む。ここまでは計画通りだ。勇者パーティーとミスリルリザードをぶつけた後の作戦は2パターンあった。勇者パーティーがミスリルリザードを討伐出来なかったときは、弱っているミスリルリザードに総攻撃を掛けて討伐する。そして、勇者達が見事討伐したときは、交渉に入る。勇者パーティを取り囲んだのは交渉を有利に進めるためだ。


ゴブタンさんが代表として勇者と交渉をしている。ゴブタンさんには通信の魔道具を持ってもらってヘンリーさんが逐次指示を出していた。

勇者もここでゴブリン軍と争うのは得策ではないと判断したようで、平和的?(ちょっと脅しっぽい)に交渉をしている。

もう戦闘の危険はないということなので、「試練の塔」の3人には帰ってもらうことになった。お礼と今後のことについて、話し合うため、ミランダ社長とネロスさんも同行する。ヘンリーさんは、しばらくゴブタンさん側で、状況を見守るということだった。


私はというと9階層のゴブリン集落に移動した。勇者パーティーをもてなす準備だ。

勇者パーティーを観察しているとグルメでお酒好きだ。特にドワーフとエルフはかなりの酒好きみたいっだった。美味しいお酒と料理があれば、今後の交渉が和やかに進むとヘンリーさんが言っていたので、ゴブリン達に宴の準備を指導することになった。

幸い、勇者が討伐してそのままにしていた自生の魔物肉が豊富にあった。ワーウルフやロックバードが主なものだが、これなら新鮮で焼くだけでもそれなりの料理はできるだろう。結局ハーブをまぶして焼いたり、薬草と果実を併せて煮たりしたものにした。

お酒は骸骨騎士様ロンメルさんの秘蔵のお酒を「試練の塔」から持ってきてもらっていた。


宴の準備をしていたところ、勇者パーティーが集落にやってきた。思いのほか発展し、城塞都市さながらの城壁があるゴブリン集落を見て、勇者達は驚いている。これもヘンリーさんの案で、「戦争するならあなた方も大きな犠牲を払うことになるよ」という警告の意味が込められている。軍略が多少分かる者ならば、いきなり敵対行動は取らないだろう。


宴の前に勇者はゴブタンさん達首脳陣と今後の方針をすり合わせていた。ヘンリーさんは私に可能な限り、他のメンバーの情報も集めて欲しいと言ってきた。私も納得する。前回の勇者パーティーは過激派のメンバーが入っていたくらいだから、今回もヤバい奴がいるとも分からない。

しかし、結果的にはいなかった。


神官騎士は応急処置では完全回復しなかったゴブリン達を一生懸命治療してくれていたし、カーン男爵の五男さんは想像通りいい子だった。エルフとドワーフの女は、酒好きでゴブリン達と一緒に楽しそうに飲んでいた。謀略とかできるタイプではなさそうだ。

魔法使いの女は、しきりに「この杖は非常に使いやすくていいですよ。魔法が得意なゴブリンさんにピッタリです」と杖を売りつけようとしていたが、魔法に興味があるゴブリン達に一生懸命に教えてくれていた。杖を売らないといけないノルマでもあるのだろうか?


そんな感じで宴は進む。若いゴブリン女性はヘンリーさんと勇者パーティーの神官騎士ではどちらがカッコいいかという話で盛り上がっていた。神官騎士は間近でみるとかなりのイケメンだった。人気が出るのも頷ける。私はもちろんヘンリー派だけど。

神官騎士派の急先鋒はゴブタンさんの娘のゴブミちゃんだった。


「私の足を治療してくれたし、そのとき私に優しい言葉を掛けてくれたのよ。絶対私に気があるよね?アタックして来る!!」


「ちょっとゴブミ!!私のほうがあの人に相応しいわ!!」


ゴブミが神官騎士の元に行ってしまうと他の神官騎士派のゴブリンも着いっていってしまった。

ヘンリーさんは、何はともあれ交渉は上手くいき、交流もできたのでよかったと言っていた。


次の日、私達はマスタールームで交渉内容を確認していた。ヘンリーさんが報告する。


「勇者の言動ですが、概ねゴブリン達に好意的でした。『ここが自国のラーシア王国であれば、王女の名において、ゴブリンたちのダンジョン内での居住を認め、権利も補償するが、ここは他国なので、確約はできない。ノーザニア国王には誠意を持って伝える』との言質を取りました。ノーザニア王国も以前どおりに鉱石関係の利益が上がれば、文句は出ないと考えられます」


ミランダ社長が答える。


「ノーザニア王国の王妃は魔族だし、ゴブリン達の軍事力も示せているから、平和的に解決できると私も思うわ」


概ね上手くいったみたいだった。しかしここで、またしてもヘンリーさんが怒りを押し込めたような表情に変わる。


「ノーザニア王国については、クラシア王女もいることだし、心配はしていません。問題はダンジョン協会です。こちらの資料をご覧ください」


ヘンリーさんが差し出した資料を確認する。

これは酷い。私でも分かる。ミスリルリザードの取り扱い説明書、それに契約書に書かれてあった内容が全くの出鱈目だった。詳しいことは省くが、「購入後、特にメンテナンスの心配なし。周囲の環境に溶け込み、比較的大人しい。ダンジョンを壊すような恐れは全くない・・・・」そんな内容だったDPは勝手に吸い取るし、周囲の環境を自分の都合がいいように改変し、活性化スキルで魔物を次々と生み出すなんて一言も書かれていなかった。

ミランダ社長は言う。


「この資料でそれなりに賠償金かDPは取れると思うけど・・・多分担当者はまた行方不明でしょうね」


「そうですね。でもやれることはやります」


ヘンリーさんは悔しそうだった。

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