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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第三章 対決!!勇者パーティー

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新生勇者パーティー

ヘンリーさんがミランダ社長に今日までの報告を行っている。報告を聞くとミランダ社長は口を開いた。


「なるほどね、思っていた以上に厄介ね・・・。とりあえず私が仕入れた情報もみんなに共有するわ。まず勇者パーティーだけど、代替わりして、新たな勇者パーティーが招聘されて活動を開始しているらしいのよ。だから「試練の塔」に来た勇者とは全くの別物だから、前回の情報は役に立たないわ」


ミランダ社長が言うには、前回の勇者パーティーは、大問題を起こしたみたいだ。魔族と獣人達が居住する村を襲撃したらしい。それに聖女は過激派の一味だったようだ。

(本当にクズ野郎だった)


「勇者は現場で討ち取られたみたいだけど、聖女は逃亡して、まだ行方が分からない。他のメンバーは逆に勇者が襲撃した村を守るために体を張って戦ったらしいのよ。そんな事情だから、勇者の信頼が地に落ちているみたい。今回の勇者は魔族との戦いも使命だけど、信頼回復も大きな任務みたいなのよ。だから、こういった困りごとにも積極的に対応するらしいわ。それで問題の勇者なんだけど、ラーシア王国の王女なの・・・」


ラーシア王国というのは私の実家のダンジョンがある国で、獣人が代々国を治めている。農業も盛んで、比較的裕福な国だ。獣人が国民の大半なので、国民性としてはのんびりしている。王族や治世についても特に悪い話は聞かない。

ここで、ヘンリーさんが質問する。


「ラーシア王国の王女というとクラシア王女でしょうか?」


「そうよ。ヘンリー君知ってるの?」


「セントラルハイツ学園の同級生ですね。剣技も魔法も得意で、気高く、誰にも分け隔てなく接する人物でした。まっすくな性格ですので、搦め手には弱いと思いますね」


「でもヘンリーさん!!勇者パーティーって歴代人格破綻者の集まりなんでしょ?猫を被っていただけなんじゃ・・・・前回の聖女のパターンもあり得るし・・・」


私は前回の勇者パーティーのイメージが強く、そんな発言をしてしまった。


「ちょっとナタリーちゃん!!私のことを言ってる?そりゃあ、私のときの勇者も思い込みの激しい変わった子だったけど・・・・」


話が脱線してしまった。今はそんなことは関係ないので話を戻す。

ミランダ社長の話では、勇者パーティーは5人で、魔法使いの女、神官騎士、エルフの拳闘士、ドワーフの女戦士らしい。みんなそれなりの実力者のようだ。


「この中で、神官騎士についてはイサク司祭から聞いたからある程度のことは分かるわ。真面目な性格で回復魔法も一級品、槍の扱いも上手く、タンクとしても使えるみたいよ。所属する聖母教会でも有名らしいわ。彼がいれば、変な勇者でも抑えが効きそう」


パーティーに一人は、まともな人物がいて良かった。後のメンバーは情報があまりない。


「ところで、勇者パーティーが派遣されるのは間違いない情報なのでしょうか?」


「それは間違いないわ。この辺の村に「ようこそ勇者パーティー」とかいう横断幕があったし、村人に聞いても、役人から『勇者様が何とかしてくれるから安心しろ』と言われたらしいからね」


「分かりました。1~5階層には活性化した魔物が湧き続けていますから、その辺の様子を見ながら分析してみましょう。現時点で我々が取りえる策は3つ・・・・」


なるほど、どの策を取るにしてもメリットとデメリットがある。勇者の分析には私の隊員達が役に立つ。私は情報収集を頑張ろう。






それから2週間が経過した。訓練や補給関係も順調に進んだところで、勇者パーティーが侵入してきた。

勇者、魔法使い、神官騎士・・・


「あれ?6人いません?それにあれはカーン男爵の五男さんでは?」


「そうだ忘れてたわ。前回の勇者パーティーのサポーターは、ノーザニア王国が役人として採用したみたいよ。多分、前回の勇者パーティーがやらかしたから、監視役じゃないのかな?戦闘に参加しないみたいだから忘れてたわ」


(よかった無事で・・・でもまた勇者に虐められないか心配)


程なくして戦闘が始まる。勇者は強かった。それに的確に味方に指示を出していた。

骸骨騎士様ロンメルさんも褒めている。


「あの勇者は指揮能力もあるな。それにあのドワーフの女も器用で力強い」


キョウカ様とミルカ様はエルフの拳闘士を褒めていた。お二人はハイエルフなので、エルフを贔屓してるのかもしれない。


「あのエルフは間違いなく先祖返りね。後1000年もすれば、私と同じ領域にまで来れるかもしれないわね」


「そうですね。今のエルフ達は、弓や魔法ができないと馬鹿にする風潮がありますから、子供の時は苦労したんでしょうね」


エルフもエルフなりの事情があるようだ。

魔法使いの女と神官騎士は目立つような攻撃はしないが、それでも素人目に見ても実力者だと分かる。まだまだ余裕そうだ。


あっという間に5階層に来た。野営をするみたいだ。私はフワフワ鳥のフワッチを出動させた。会話を盗み聞く。このパーティーは前回の勇者パーティーと比べて雰囲気はいいようだった。サポーターの少年も打ち解けている。

魔法使いの女がサポーターの少年の料理を褒めていた。


「やっぱりロイの料理は美味しいわ!!」


(そういえば、五男さんはロイという名前だった)


「ありがとうございます」


エルフの拳闘士の発言に勇者が注意する。


「戦闘で危なくなったらすぐ退避しろよ。この料理が食べられなくなると困るからな」


「ちょっと!!ロイを料理係みたいに言わないでよ。大切な仲間なんだから!!まあ・・・料理が凄いのは認めるけど・・・」


しばらく監視を続けていたが、本当に仲が良く、勇者も人格者のようだった。



これらの情報を分析し、私達の方針を決める。取りうる策は3つ。一つ目は、6階層で待ち受けて総攻撃を掛ける。しかしこれは現実てきではない。二つ目は、6階層で待ち受け事情を説明して討伐を依頼する。いい作戦のように思えるが、勇者の後ろにはノーザニア王国がいることを考えると、後々の交渉でゴブリンが弱い立場になる可能性がある。

結局、三番目の策を取ることにした。勇者にゴブリンがかなりの軍事力を持っているとを知らしめつつ、ミスリルリザードの討伐は勇者パーティーにさせる。


骸骨騎士様ロンメルさんが言う。


「ヘンリー殿は策士であるな。勇者とミスリルリザードをぶつけて、漁夫の利を狙うとは・・・・」


「こちらも陰ながら協力するので、お互い利のある話ですよ」



そして次の日、勇者パーティーは6階層に到着した。

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